賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

韓国食べ歩き:第16回

(『あるくみるきく』1987年1月号 所収) 特急セマウル号 私たちはソウルから韓国南部、全羅南道(チョンラナムド)の中心地、光州(クワンジュ)に行くことにした。全羅南道は気候が温暖で海産物に恵まれ、食材も豊富にある。 「(韓国の)食は光州に…

海を渡った伊万里焼を追って(7)

(『海を渡った日本のやきもの』1985年・ぎょうせい 所収) マラッカの骨董街、ハング・ジェバット通りは何度も歩いたが、ここでは「イマリ」という言葉はじつによく通じる。 とある店で私の求めに応じてイマリの赤絵の皿を見せてくれた青年は、流暢な英…

カソリと走ろう!(4)「チベットの聖山カイラスへ」

(『ゴーグル』2004年9月号 所収) 人生、「一寸先は闇」。 何が起きるか、わからない…。 前回の「モンゴル周遊」を終え、帰国してすぐにぼくは50代に突入したが、体力も気力も充実していた。 9月には「東北一周」を走り、10月には九州の「峠越え」で5…

海を渡った伊万里焼を追って(6)

(『海を渡った日本のやきもの』1985年・ぎょうせい 所収) マラッカではハング・ジェバット通りの骨董屋街には何度となく足を向けた。 思えば、博物館から骨董屋をまわるのは、この一連の取材行ではおきまりのコースになっている。 「能がない」といわ…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その32・最終回)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) 西原通い! 話はやや広がりすぎた。 私は「山地食文化」というテーマで日本中の山村を歩いているが、そこではかつての主食の雑穀類が米に押しやられ、急速に姿を消していった。その中にあって、どうして西原…

カソリ、2008J1秋の陣を語る。

カソリ: 「大分トリニータ」、強くなりましたねえ。 もう完全に上位をキープしてますよね。 こうしてJ2から上がってきたチームが上位に定着すると、 いよいよJリーグも本物になってきたか、と思いますよ。 それにしても昨日のトリニータの1点は森重…。 …

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その31)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) 世界が見えてくる! 雑穀類、麦類、芋類は西原の食を支えてきた3本の柱だと繰り返しいってきたが、それら3本の柱が日本に入ってきた伝播ルートが興味深い。 雑穀類はインドやアフリカのサバンナ地帯が原産…

カソリと走ろう!(3)「あわや遭難…の、モンゴル周遊」

(『ゴーグル』2004年8月号 所収) 「生老病死」は誰もが避けて通れない人間の四大苦だ。 ぼくは30代の後半になったときにいやというほど「老」を感じた。気力も体力もすっかり衰えてしまった自分を感じ、愕然とした。 「何とかしなくては…」 40歳にな…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その30)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) 重なりあう食文化圏 日本は「粒主粉従」の国である。 つまり、飯や粥などの粒食が主で、団子や饅頭、うどん、そばなどの粉食が従になっている。 ところで粒食圏だが、世界的な視野でみると、ごく限られたエリ…

カソリと走ろう!(2)「夢のタクラマカン砂漠」

(『ゴーグル』2004年7月号) 人間は夢見る動物だ。 夢を見て、夢を追いつづけてこその人間。夢を見なくなったときは人間廃業といっていい。「夢」を「憧れ」に置き換えてもいい。これは年には関係のないことで、棺桶に足を突っ込みかけても夢を見つづ…

カソリと走ろう!(1)「目指せ! エアーズロック」

(『ゴーグル』2004年6月号 所収) 「人との出会い」、ぼくはこれがツーリングの最大の魅力だと思っている。いや、ツーリングのみならず、人生で一番おもしろいのが「人との出会い」といっても過言ではない。 ぼくは今(※2004年)、56歳。20歳のときに…

シルクロード横断:第44回 タブリーズ

トルコ国境に近いタブリーズはイラン第3の都市。古来より、シルクロードの要衝の地として栄えてきた。ここはアジアとヨーロッパを結ぶ交易路の宿場町として、きわめて重要な役割を果たしてきたのだ。 タブリーズの町の起源はサーサーン朝ペルシャ(224~…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その29)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) 西原の粒食と粉食 この項では、西原の食を支えてきた3本の柱のうち、雑穀類と麦類の利用の仕方をみてみよう。穀物の利用の仕方というのは粒食と粉食の2つに大きく分けられる。 くりかえしになるが、「粒食…

カソリ、北京五輪サッカー決勝を語る

カソリメール届きました。 ~~~~ アルゼンチンはやっぱり強かった! 今日のナイジェリアとの決勝を見ていると、 反町ジャパンとのあまりの差に泣けてきますねえ…。 ~~~~ 管理人コメント: いやぁ、ほんとに。ナイジェリアの足技がすごかった。 もちろ…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その28)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) 西原の食の伝統 この項では米が常食となる以前、昭和30年代以前の西原の食生活を整理してみよう。 まずは日常食である。 朝食には麦粥のオバク(お麦)を炊いたり、アワ飯やヒエ飯の雑穀飯を炊いたり、サト…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その27)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) オオムギとコムギ 西原でつくられている雑穀類と芋類を脇坂芳野さんの詩を中心にしてみてきたが、これらの畑作物は西原の食生活を支える柱になってきた。それともうひとつ、麦類もそれらに勝るとも劣らず重要…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その26)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) 3編の芋の詩(うた) 以上、サトイモの詩、ジャガイモの詩、サツマイモの詩と、脇坂芳野さんの「芋の詩」の3編をみてきたが、どれをとってもわかるように、イモ類の調理には西原でいうところの「ひじろ」、…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その25)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) サツマイモの詩 最後にサツマイモの詩である。 サツマイモは、 「大きな鍋に 木のわく入れて 竹の網置き さつまのせ」 とあるように鍋に八分目ぐらいの水を入れ、その鍋の中にシタジキと呼ぶ十字に交差する木…

カソリ、なでしこ準決勝(アメリカ戦)を語る。

東北をかっとばしてたカソリ氏からメールが届きました。 ~~~~ 東北第1弾、3000キロを走って帰ってきました。 (中略) 昨夜の「なでしこJAPAN」は神ヶ根温泉という湯治宿で見てたのですが、 残念でした…。 あの同点の1点が痛かったですねえ。 …

シルクロード横断:第43回 アルダビール→タブリーズ

アゼルバイジャンとの国境に近いアルダビールでは中心街の「ダリアホテル」に泊まったが、翌朝は夜明けとともに町を歩いた。 この町の歴史は古く、13世紀末に誕生したイスラム教神秘主義教団「サファービー教団」発祥の地として知られている。 その生みの…

甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その24)

(『あるくみるきく』1986年10月号 所収) ジャガイモの詩 次にジャガイモの詩である。 「せいだは白く 丸い顔」の「せいだ」はジャガイモのこと。江戸時代中期、安永~天明年間(1772年~1789年)に、甲州各地の代官を歴任した中井清太夫の名…

日本列島岬めぐり(10) 大間崎(おおまざき・青森)

(共同通信配信 1990年) 本州最北端の大間崎には、下北半島の中心、むつ市の田名部から国道279号で向かった。津軽海峡に出ると大畑へ。イカ漁の基地になっている大畑漁港を見てまわりる。 さらに国道279号を行き、海辺の峠、木野部峠を越え、下風…

日本列島岬めぐり(9) 尻屋崎(しりやざき・青森)

(共同通信配信 1990年) 斧そっくりの形をした下北半島の東北端が尻屋崎。本州の東北端でもある。 津軽海峡に沿ってバイクを走らせ尻屋崎に近づくと、石灰岩を採掘する鉱山前を通る。背後にそびえる標高400メートルの桑畑山は石灰岩の宝庫。埋蔵量は…

シルクロード横断:第42回:チャールース→アルダビール

チャールース郊外の「エンゲラブカザールホテル」に泊まったが、朝は起きるなり、カスピ海の砂浜を歩いた。水平線を眺め、小波の音を聞く。たまらない早朝の散歩だ。 ホテルでの朝食を食べ8時30分、出発。カスピ海沿岸の道を走る。 カスピ海の沿岸には町…

韓国食べ歩き:第15回

(『あるくみるきく』1987年1月号 所収) トウガラシの歴史は? トウガラシは今でこそ、韓国料理には欠かせないものになっているが、朝鮮半島に伝わった歴史はごくごく新しい。たかだか、3、400年前のことでしかない。食文化の悠久の歴史でいえば、…

韓国食べ歩き:第14回

(『あるくみるきく』1987年1月号 所収) トウガラシの辛さ 東大門市場近くの食堂で夕食を食べながら思うことは、 「韓国料理はなんでこんなに辛いんだろう」 ということだった。 キムチも辛い。チゲも辛い。さらに、テーブルの上には、生の青トウガラ…

韓国食べ歩き:第13回

(『あるくみるきく』1987年1月号 所収) 人家二大行事 韓国では初冬のダイコンやハクサイのキムチの漬け込みの季節を「キムジャン」と呼んでいる。そのキムジャンの季節に、私は以前、プサン(釜山)に行ったことがある。 市場にはダイコンやハクサイ…

シルクロード横断:第41回 ゴルガーン→チャールース

カスピ海に近いゴルガーンでは町外れの「アジンホテル」に泊ったが、早朝の部屋からの眺めは良かった。ゆるやかな丘陵の裾野に広がる町並みを一望。カスピ海の沿岸地方を貫く「アジアハイウエー」の1号線、A1もよく見える。 朝食までの1時間ほど、ゴルガ…

韓国食べ歩き:第12回

(『あるくみるきく』1987年1月号 所収) 夕食のキムチの皿数 東大門市場近くの大衆食堂で焼き魚とチゲ、カルビの夕食を食べたが、テーブルにズラリと並んだキムチの皿数の多さには驚かされた。数えてみると6種、あった。 それら6種のキムチというの…

秘湯めぐりの峠越え:第3回 天城峠編(静岡)

(『遊ROAD』1993年6月号 所収) 50㏄バイクで伊豆半島へ 1993年3月18日、夜明けとともに、50㏄バイクのスズキ・ハスラーTS50で神奈川県伊勢原市の自宅を出発。国道246号を走り出す。目指すのは、伊豆半島の天城峠だ。 このTS…