甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その25)
(『あるくみるきく』1986年10月号 所収)
サツマイモの詩
最後にサツマイモの詩である。
サツマイモは、
「大きな鍋に 木のわく入れて
竹の網置き さつまのせ」
とあるように鍋に八分目ぐらいの水を入れ、その鍋の中にシタジキと呼ぶ十字に交差する木のわくを入れ、その上にアミカゴと呼ぶ竹の敷物を敷いて、その上にのせる。
「ひじろに掛けて 火をもせば
割れ目がほやけ うんまそう」
とあるように、イロリの自在鉤に鍋を掛けて沸し、ふかすのである。
残ったサツマイモはサトイモやジャガイモと同じようにイロリで焼いて食べた。
さらに、
「あく灰に埋め こんがりと」
とあるように、イロリの火のわきで、生のサツマイモに熱い灰をかけていけておくと、脇坂さんの言葉をかりれば、
「こんなに、うまいものはない」
というくらいにうまく焼ける。
まさに、
「ほくほくおいしい おやつです」
なのである。