甲武国境の山村・西原に「食」を訪ねて(その29)
(『あるくみるきく』1986年10月号 所収)
西原の粒食と粉食
この項では、西原の食を支えてきた3本の柱のうち、雑穀類と麦類の利用の仕方をみてみよう。穀物の利用の仕方というのは粒食と粉食の2つに大きく分けられる。
くりかえしになるが、「粒食」とは穀粒を粒のまま炊いて飯にしたり、やわらかく煮て粥にしたり、蒸して強飯にしたり、蒸したものを搗いて餅にするような食べ方である。
それに対して、穀粒をいったん粉にひき、それを練り固めて蒸して餅にしたり、丸めて団子にしたり、中にあんを入れて饅頭にしたり、うどんやそばに打ったり、そばがきにするような食べ方が粉食である。
さて、西原で栽培されている雑穀類と麦類の利用の仕方は次のようになる。
アワ(粳種) 粒食 飯、粥
粉食 団子
アワ(糯種) 粒食 餅、強飯
キビ 粒食 餅、強飯
ヒエ 粒食 飯、粥
粉食 団子、饅頭
シコクビエ 粉食 団子、饅頭
モロコシ 粒食 飯、餅
粉食 団子、饅頭
トウモロコシ 粒食 飯
粉食 団子、饅頭
ソバ 粉食 そばがき、そばきり、団子
オオムギ 粒食 飯、粥、こがし
コムギ 粉食 うどん、団子、饅頭