賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

日本食べある記(22)与那国島の泡盛

(『市政』1995年9月号 所収) 日本最西端の地へ 日本最西端の島、八重山諸島の与那国島には,石垣島の石垣港から船で渡った。 午前10時、500トンのフェリー「よなくに」は、石垣港を出港。私はすぐさま甲板に上がり、八重山諸島の島々を眺めた。 …

日本食べある記(21)三国のタラと花らっきょう

(『市政』1995年7月号 所収) 九頭竜河口の三国へ 前回にひきつづいて、また福井にやってきた。今回は京福電鉄の三国芦原線に乗って九頭竜川河口の町、三国に向かうのだ。 JR福井駅に隣りあった京福電鉄の福井駅を出ると、1両のワンマンカーの電車…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(45)

3月20日。夜明けとともに雪の盛岡を歩いた。チラチラ雪が降っている。北上川にかかる開運橋を渡ったところでは凍った雪道に足を滑らせ、たてつづけに2度も転倒した。バイクでなくてよかった。 目抜き通りの商店街を抜け、南部藩20万石の盛岡城址を歩き…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(44)

岩手県から青森県に入ると、国道45号から海沿いの県道1号を行く。 JR八戸線の線路を渡ったが、すぐ近くの階上駅から八戸駅までは列車が動いている。太平洋岸では久々に見る運行中の鉄道。ピカピカに光っている線路が新鮮に見えた。 県道1号沿いでは海…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(43)

翌朝は夜明けとともに起き、朝湯に入った。朝食は古山夫妻と一緒に食べた。 ひと晩中降った雪は明け方には止んでいて、まずはひと安心といったところだ。 朝食を食べ終わったところで古山夫妻と別れ、8時、「グリンピア三陸みやこ」を出発。ありがたいこと…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(42)

気仙沼から国道45号を北上し、宮城県から岩手県に入る。この日の目的地は大船渡。陸前高田を通り、9時、大船渡のバイク店「オートランドリッキー」に到着。国道45号と国道107号の交差点に店はある。 「スズキきずなキャリイキャラバン」の活動が始ま…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(41)

早朝の「気仙沼歩き」を終え、高台上の「ホテル望洋」に戻ってきた。 朝食を食べ、8時出発。 スズキのみなさんの乗った車をV-ストロームでフォローする。 「ホテル望洋」の高台下の一帯は、「東日本大震災」では大地震に見舞われ、大津波に襲われ、さらに…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(40)

翌朝はスズキ二輪のMさん、「スズキきずなキャリイキャラバン」のみなさんと一緒に、早朝の気仙沼を歩いた。 気仙沼港前の「男山本店」の建物が目を引く。元々は3階建だったものが、1階と2階が潰れ、3階だけが残った。 「男山本店」は大正元年(191…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(39)

石巻からは国道45号を北へ。 河北ICで三陸自動車に入り、終点の登米東和ICで降りる。仙台からつづく三陸自動車道の開通区間はここまで…。三陸海岸の1日も早い復興のためにも、この三陸自動車道の1日も早い全線の開通を願うばかりだ。 三陸自動車道終…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(38)

翌朝も、夜明けとともに起きた。「松島センチュリーホテル」の朝湯に入り、湯から上がると松島を歩いた。天気予報は雨だったが、青空が広がっているのがうれしい。 7時、朝食。 8時30分、スズキ二輪のMさんとホテルを出る。 「スズキきずなキャリイキャ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(37)

「石巻バイパス仮設住宅」での「スズキきずなキャリーキャラバン」の活動は15時30分で終了。「松島センチュリーホテル」に連泊するので、ここでいったんみなさんと別れ、カソリはV-ストロームを走らせ石巻に向かった。 石巻に到着すると、旧北上川河畔…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(36)

「松島センチュリーホテル」に戻ると朝食。ボリューム満点の朝食を食べ終ると、スズキ二輪のMさんとホテルを出る。 8時30分、「スズキきずなキャリーキャラバン」のみなさんの乗った車がホテルにやってきた。さー、出発だ。 V-ストロームでMさんの乗…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(35)

翌朝、目覚めるとすぐに「松島センチュリーホテル」の朝湯に入った。最高の気持ち良さ。 ぼくは温泉が好きだ。とくに目覚めてすぐに入る朝湯が好きなのだ。ここは絶景湯。大浴場の湯につかりながら「日本三景」の松島を眺めた。 湯から上がると、「松島セン…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(34)

南三陸町の志津川から国道45号→国道398号で女川へ。 女川の町跡でV-ストロームを止めたが、見れば見るほど、すさまじいやられ方だ。 今回の「平成三陸大津波」では、高さ35メートルの大津波が女川の町を襲い、中心部はほぼ全滅した。強い引き波によ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(33)

大船渡を出発し、国道45号を南へ。 通岡峠を越えて陸前高田市に入り、高田の被災地を走り抜けていく。大津波に直撃されて全壊した道の駅「高田松原」が、再びオープンする日を願うばかりだ。 それにしてもすごいのは、国道をはさんで道の駅と反対側のセル…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(32)

山田からは国道45号を南下する。 大槌では仮店舗の「復興食堂」でV-ストロームを止めた。復興丼の「おらが丼」を食べたかったのだが、残念ながら「準備中」。 釜石に到着したのは16時。少し早かったが「釜石で泊まろう!」と、釜石駅前まで行き、駅周…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(31)

JR山田線の陸中山田駅近くの食堂「いっぷく」で昼食を食べると、山田にはまったく雪がなかったので、 「これなら行けるかもしれない」 とばかりに、本州最東端の岬、トドヶ崎を目指すことにした。岬入口の姉吉は今回の大津波では38・9メートルという最…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(30)

大津波に襲われて全滅した田老の町跡の端から端まで歩き、10時に田老駅に戻ってきた。わずか2時間だが、この間に気温は上がり、路面の雪は溶け、アイスバーンもシャーベット状になっていた。 「それ、行け!」 と、気合を入れて田老の駅前を出発。 スズキ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(29)

三陸鉄道北リアス線の田老駅を出発点にして雪の田老を歩く。 まずは田老駅のホームに上がる。三陸鉄道北リアス線のうち、宮古~小本間は開通している。午前2便、午後2便と、1日4便の列車が走っている。 田老駅前からは国道45号を越え、残った巨大防潮…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(28)

3月14日。「グリンピア三陸みやこ」の夜明け。 部屋の窓から明けゆく東の空を眺める。やがて太平洋の水平線から朝日が昇る。高台上にある「グリーンピア三陸みやこ」は大津波の被害を受けることもなく、無傷で残った。「東日本大震災」のあとはしばらく被…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(27)

山田の国道45号では車に乗ったkoshiさんに出会った。いままでに何度となく出会ったkoshiさんと、一緒に宮古まで行く。 山田の町を過ぎると、雨が雪に変わった。国道45号のブナ峠が大きな難所だったが、無事に越えられた。 宮古に到着したのは…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(26)

釜石市から国道45号で大槌町に入り、国道45号の旧道で町の中心街に入っていく。 大槌は高さ22メートルの大津波に襲われ、町は全壊。1300人弱という多数の町民が犠牲になった。 大槌町の中心街を抜け出たところで国道45号に合流し、次に山田町に…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(25)

釜石を出発。国道45号を行く。トンネルを抜け出ると両石湾の両石に出る。漁港は巨大な防潮堤で囲まれている。 国道45号は震災前も何度となくバイクで走ったが、この両石漁港の巨大防潮堤を見るたびに、あまりの大きさから「無用の長物だ!」ぐらいに思っ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(24)

国道45号で釜石へ。 町の入口にある「釜石大観音」(拝観料500円)を見に行く。ここは震災直後から営業している。展望台からは釜石湾を一望。湾口の防波堤は見るも無惨に破壊されている。 この湾口防波堤は1200億円もの巨費を投じて2009年に完…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(23)

綾里からさらに県道9号を走り越喜来(おっきらい)へ。 越喜来湾の一番奥に位置する越喜来も、今回の「平成三陸大津波」では大きな被害を受けた。リアス式海岸の三陸海岸はこのようにいくつもの湾が連続するが、湾の一番奥にある町々はどこも壊滅的な状態だ…