韓国食べ歩き:第14回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
トウガラシの辛さ
東大門市場近くの食堂で夕食を食べながら思うことは、
「韓国料理はなんでこんなに辛いんだろう」
ということだった。
キムチも辛い。チゲも辛い。さらに、テーブルの上には、生の青トウガラシが1皿のっている。この青トウガラシはそのままかじるのだが、あまりの辛さに脂汗がタラタラ流れ落ち、涙がこぼれ、鼻水がズルズル流れ出てくるほど。口の中は火事になったようなものだ。「フー、フー」と、大きく息を吐き出す。
それでいて、口の中がいくらかおさまってくると、また青トウガラシをかじってしまうのだ。
英語では、このトウガラシの辛さを「ホット(hot)」で表現するが、じつにうまい。「暑い」の「ホット」と同じ単語である。汗を流しながら青トウガラシをかじっていると、「なるほど!」と、納得できるのだ。