賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

岬めぐり

日本列島岬めぐり:第50回 観音崎(かんのんざき・神奈川)

(共同通信配信 1990年) 「雨はふるふる 城ヶ島の磯に 利休ねずみの雨がふる」 北原白秋の「城ヶ島の雨」の詩碑が建つ城ヶ島は、三浦半島南端の小島。 この城ヶ島と対岸の三崎漁港を見てまわったあと、三浦半島南東端の岬、剣崎に立った。灯台のある断…

日本列島岬めぐり:第49回 御前崎(おまえざき・静岡)

(共同通信配信 1990年) 浜松の中田島砂丘は、日本三大砂丘の一つに数えられている。遠州の強風が砂丘の表面に幾何学模様の風紋を描いている。風紋の上に自分の足跡を残しながら砂丘を登り、砂丘のてっぺんから遠州灘を見下ろした。 そんな浜松から天竜…

日本列島岬めぐり:第48回 伊良湖岬(いらこみさき・愛知)

(共同通信配信 1990年) 朝一番の午前8時発、伊良湖行き「伊勢湾フェリー」に乗って、鳥羽港を離れた。1時間ほどの航行だが、船尾の長いすに座りながら、間遠になっていく伊勢・志摩の山々を眺める。船旅の良さをしみじみと感じる一時だ。 伊勢湾は東…

日本列島岬めぐり:第47回 大王崎(だいおうざき・三重)

(共同通信配信 1990年) 志摩半島東南端の大王崎には、近鉄の鵜方駅前から海沿いの道を南下して向かった。 その途中、志島という集落を通った。ここは我がなつかしの地! 志摩といえば海女漁の本場だが、何年か前の夏、ここの海女たちに漁に連れていっ…

日本列島岬めぐり:第46回 潮岬(しおのみさき・和歌山)

(共同通信配信 1990年) 「ここは串本 向かいは大島 仲をとりもつ巡航船…」 と、ついつい口ずさんでみたくなる「串本節」の串本から、本州最南端の岬、潮岬に向かった。 岬への道沿いには点々と集落があるが、家々の周りや畑の周りの防風林が目につく。…

日本列島岬めぐり:第45回 日ノ岬(ひのみさき・和歌山)

(共同通信配信 1990年) 和歌山から国道42号で紀伊半島を南下していく。海南、下津あたりの海岸からは淡路島がよく見える。海は穏やかで、波ひとつない。 有田に近づくと、さすが紀州ミカンの本場だ。周囲の山肌一面がミカン畑で、山のてっぺんまで続…

日本列島岬めぐり:第44回 蒲生田岬(がもうだみさき・徳島)

(共同通信配信 1990年) 高知県の室戸岬から徳島県の阿南に至る長い海岸線は、室戸阿南国定公園に指定されている。南九州の日南海岸に似た風景。海の青さが強烈だ。この辺りは海士(あま)漁が盛んで、男たちが海に潜り、アワビやサザエなどを採ってい…

日本列島岬めぐり:第43回 室戸岬(むろとみさき・高知)

(共同通信配信 1990年) 土佐湾をはさむように、西の足摺岬と相対して、東の室戸岬が太平洋に突き出ている。 その室戸岬には高知から国道55号で向かった。 国道は室戸岬のすぐわきを通っている。スズキ・ハスラーTS50を停め、岬先端の岩場に立つ…

日本列島岬めぐり:第42回 足摺岬(あしずりみさき・高知)

「カソリの岬めぐり」(42) (共同通信配信 1990年) 四国最南端の岬、足摺岬までは、カツオ漁の基地の土佐清水から向かった。 海沿いの曲がりくねった狭路をスズキ・ハスラーTS50を走らせていく。途中の中浜、大浜、松尾は昔からカツオ漁の盛ん…

日本列島岬めぐり:第41回 高茂岬(こうも岬・愛媛)

(共同通信配信 1990年) 宇和海沿岸を貫く国道56号から高茂岬のある船越半島に入っていく。 岬への途中の浦々はどこも養殖漁業が盛んだ。入江ではハマチやタイ、フグなどの養殖用生簀で埋め尽くされている。「海の畑」といった光景を眺めながら、スズ…

日本列島岬めぐり:第40回 佐田岬(さだみさき・愛媛)

(共同通信配信 1990年) 佐田岬は四国最西端の岬だ。 八幡浜から佐田岬半島を行く。国道197号で向かったのだが、この半島は日本で一番細長く、付け根から岬までは50キロ以上もある。 国道197号はかつて、ゴロあわせで「イクナ酷道」といわれほ…

日本列島岬めぐり:第39回 部崎(へさき・福岡)

(共同通信配信 1990年) 九州最北端の岬、部崎には、門司港駅前から向かった。昭和17年の関門トンネルの完成以前は、九州鉄道網のターミナル駅だっただけに、門司港駅には歴史を積み重ねてきた風格が残っている。 まず、和布刈神社に寄った。この神社…

日本列島岬めぐり:第38回 都井岬(といみさき・宮崎)

(共同通信配信 1990年) 宮崎から都井岬に至る約90キロの日南海岸は、国定公園に指定されている。国道220号と南郷町から入っていく県道はロードパークと呼ばれているが、どこから見ても、目の覚めるような海の青さだ。 沿道にはフェニックスやリュ…

日本列島岬めぐり:第37回 佐多岬(さたみさき・鹿児島)

(共同通信配信 1990年) 大隈半島の鹿児島湾岸を走る国道269号を南下し、佐多町の伊座敷からは県道で日本本土最南端の岬、佐多岬に急いだ。岬に立って東シナ海に沈む夕日が見たかったのだ。 だが、岬入口の漁村、大泊に着いたときには夕方の5時を過…

日本列島岬めぐり:第36回 久成崎(くなりざき・沖縄)

(共同通信配信 1990年) 石垣島の石垣港は八重山諸島の玄関口。そんな石垣港から沖縄最南端の波照間島に渡った。波照間島は有人島としては日本最南端の島になる。 高速船「第8あんえい丸」で石垣港を出ると、あっというまに竹富島のわきを通り過ぎ、新…

日本列島岬めぐり:第35回 西崎(いりさき・沖縄)

(共同通信配信 1990年) 石垣島の石垣港を離れて4時間、「フェリーよなくに」は日本最西端の島、与那国島の久部良港に入港。目の前には日本最西端の岬、西崎が断崖となってそそり立っている。 久部良港に上陸すると、まずは港近くのクブラバリ(久部良…

日本列島岬めぐり:第34回 平久保崎(ひらくぼざき・沖縄)

(共同通信配信 1990年) 那覇からフェリー「飛竜3」で18時間かけて渡った石垣島の石垣は八重山諸島の中心地。石垣港に上陸すると、50ccバイクを走らせ、日本最南の国道390号で石垣島最北端の平久保崎に向かった。 太平洋に流れ出る宮良川の河口…

日本列島岬めぐり:第33回 喜屋武岬(きゃんみさき・沖縄)

(共同通信配信 1990年) 沖縄の人たちはよく、「辺土岬から喜屋武岬まで」という。沖縄本島最北端の辺土岬から最南端の喜屋武岬までということで、沖縄本島の全土を意味している。 その喜屋武岬には与那原から国道331号で向かい、途中、沖縄第一の聖…

日本列島岬めぐり:第32回 辺戸岬(へどみさき・沖縄)

沖縄本島を南北に走る国道58号を北上し国頭(くにがみ)へ。沖縄では昔から島の北を頭や上、南を尻や下とする観念があり、本島の北半分を国のカミと考え、「国頭」と呼んだ。近世になると、国頭地方は山原(やんばる)とも呼ばれるようになった。 国頭村の…

日本列島岬めぐり:第31回 長崎鼻(ながさきばな・鹿児島)

日本鉄道網の最南端駅、JR指宿枕崎線の西大山駅は、駅舎もないような寂しい無人駅。ホームの先端には「日本最南端駅 北緯31度11分」と書かれた木標が立っている。20時40分発の西鹿児島行き最終列車が出た後、ホームのベンチで寝袋にくるまって1夜…

日本列島岬めぐり:第30回 坊ノ岬(ぼうのみさき・鹿児島)

薩摩半島南西端の坊ノ岬に行く前に、薩摩半島北西端の野間岬に立った。両岬とも東シナ海に突き出た岬である。 野間岬は昔、笠沙之碕と呼ばれた「古事記」の舞台である。日本初代の神武天皇のおじいさんにあたるニニギノ命が木花開耶姫と出会い、結ばれる。岬…

日本列島岬めぐり:第29回 瀬詰崎(せづめざき・長崎)

(共同通信配信 1990年) 名物のチャンポンと皿うどんを食べた長崎から国道251号で島原半島に入っていった。50ccバイクを走らせ、丸一日をかけて半島を一周。島原半島には心ひかれるものがった。 雲仙岳西側の小浜温泉の湯につかり、島原名物の具雑…

日本列島岬めぐり:第28回 神崎鼻(こうざきばな・長崎)

(共同通信配信 1990年) 北松浦半島の神崎鼻は、日本本土最西端の岬である。 とはいっても最北端の宗谷岬や最東端の納沙布岬、最南端の佐多岬に比べると、ほとんど知られていない。 北松浦半島には焼き物の町、伊万里から入り、日本最西端駅に立ち寄っ…

日本列島岬めぐり:第27回 波戸岬(はどみさき・佐賀)

(共同通信配信 1990年) 東松浦半島の九州北西端の岬、波戸岬には城下町の唐津から向かったが、その前に岬近くの名護屋城跡を歩いた。 名護屋城は豊臣秀吉が大陸に賭けた壮大な夢をみた城で、1592年~1594年の文禄の役、1597年~1598年…

日本列島岬めぐり:第26回 日御碕(ひのみさき・島根)

(共同通信配信 1990年) 鳥取県と島根県の県境は分かりにくいが、米子と日本海有数の水揚げ高を誇る漁港の境港は鳥取県である。境港から境水道橋を渡った島根半島の美保関は島根県になる。 地図を見ると、島根半島がじつに奇妙な形をしていることがよく…

日本列島岬めぐり:第25回 経ヶ岬(きょうがみさき・京都)

(共同通信配信 1990年) 丹後半島最北端の経ヶ岬には半島付け根の町、宮津から向かった。 50ccバイクの特典を生かし、スズキ・ハスラーTS50で日本三景のひとつ、天橋立の中を走っていく。天橋立は上から見下ろせば、 「なるほど!」 とうなずける…

日本列島岬めぐり:第24回 立石岬(たていしみさき・福井)

(共同通信 1990年) 福井県は日本海に落ち込む大山塊を境に嶺北と嶺南に分かれるが、嶺南の中心が敦賀である。 古くから北陸道の玄関口として栄えてきた。町中にある気比神宮は越前の一の宮だが、北陸道の総鎮守にもなっている。 日本三大松原のひとつ…

日本列島岬めぐり:第23回 禄剛崎(ろっこうざき・石川)

(共同通信配信 1990年) 能登半島を3つに分けて口能登、中能登、奥能登と呼ばれているが、奥能登の東北端の岬が禄剛崎である。 奥能登の日本海に面した外浦は見所が多い。 白米の千枚田は山の上から海岸まで段々になった2000枚以上の田がつづいて…

日本列島岬めぐり:第22回 入道崎(にゅうどうざき・秋田)

(共同通信配信 1990年) 天下の奇祭「なまはげ」で知られる男鹿半島は東西28キロ、南北20キロ、その最北端が入道崎である。 男鹿半島は「男鹿島」ともいわれる通り、大昔は島だった。それが秋田県の二大河川、米代川と雄物川の運ぶ土砂によってつく…

日本列島岬めぐり:第21回 龍飛崎(たっぴざき・青森)

(共同通信配信 1990年) 津軽半島最北端の龍飛崎にはJR津軽線の終着駅、三厩駅前から国道339号で向かった。 この国道がおもしろい。竜飛の集落に入ると、岬の台地上に登る階段になる。もちろん車は通れない。「人道・階段国道」である。このような…