賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

食文化研究

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(9)中部編(その2)

147、ほうとう(山梨) ほうとうといえば甲州ではなくてはならない家庭料理。とくに山村では毎夕といっていいくらいに食べている。それだから飯を“ご飯”というように、ほうとうと呼び捨てにしないで“おほうとう”と“お”をつけるのが一般的だ。ほうとうは小…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(8)中部編(その1)

114、ゼンマイ煮モン(新潟) 雪国・越後の中でもより雪の深い魚沼地方の山菜の味は格別だ。そのなかでもゼンマイは“山菜の王様”的存在。ゼンマイ料理の代表といえば“ゼンマイ煮モン(ゼンマイの煮物)”だ。まずはアク抜きして天日で乾燥させたゼンマイを…

カソリが選んだ「ニッポン郷土料理」(7)関西編(その2)

93、サバずし(京都) 京都人は昔から祭りや祝い事があるたびに、サバずしをつくってきた。そのサバというのは、若狭でとれたサバで、京都から若狭に通じる街道は「鯖街道」といわれるほどだ。日本海の浜でひと塩されたサバが峠を越えて京都に着くころには…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(6)関西編(その1)

75、鮒ずし(滋賀) 琵琶湖産のニゴロウブナやゲンゴロウブナを使った鮒ずしは、現存するすしの中では日本最古のものといわれている。塩漬けにした鮒をさらに飯(い)ずしにしたもので、できあがるまでに、何ヵ月もの日数がかかる。独特の臭いがあるので、…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(5)山陰編

57、萩かまぼこ(山口) 「萩かまぼこ」の主流は“焼き抜き”という独特の製法によるもの。まっ白なかまぼこの表面はやや固く、饅頭の皮のようなシワシワがあり、シコシコとした歯ごたえがあるのが大きな特徴だ。酒の肴にしてもうまい。この萩かまぼこの歴史…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(4)山陽編

40、ばらずし(岡山) “ばらずし”というのは、押しずしや握りずしに対しての散らしずしのことで、関東の五目ずしが関西ではばらずしになる。関西のばらずしのなかでもとくに有名なのは岡山南部の備前地方のばらずしだ。具を混ぜたすし飯の上に、さらにさま…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(3)四国編

29、讃岐うどん(香川) 讃岐路を走ってすぐに目につくのは、“讃岐うどん”とか“手打ちうどん”、“饂飩屋”といったうどん屋の看板の多さだ。ここではそば屋の看板は、ほとんど見られない。讃岐はそれほどの“うどん大国”。香川県民のうどん消費量は断トツで日…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(2)九州編

11、きびなごの刺し身(鹿児島) きびなごは南日本で多くとれるウルメイワシ科の小魚で、そう珍しいものではないが、ツーリング途中で、このきびなごの刺し身を食べると、「今、鹿児島にいる!」という実感がする。きびなごの“きび”は昔、薩摩地方で使われ…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(1)沖縄編

1、ごーやちゃんぷる 那覇港に着きフェリーから降り立つと、まっさきに食べたくなる琉球料理がこれだ。食堂でふつうに食べられる。沖縄人のごくふつうの家庭料理にもなっている。ごーや(にがうり)を使った“ちゃんぷる(豆腐入りの炒めもの)”のことで、薄…

六大陸食紀行:第15回 オーストラリア

(共同通信配信 1998年~1999年) オーストラリアは大陸を2周した。全行程7万キロ2000キロ。地球2周分ぐらいの距離を走ったことになる。 オーストラリア人はアメリカ人と同じように、ハンバーガーが大好きだ。うまいハンバーガーを食べようと…

六大陸食紀行:第14回 中央アジア・モンゴル

(共同通信配信 1998年~1999年) モンゴルの首都ウランバートルを出発点にして“草原の国”をバイクで走った。草原のいたるところで羊や山羊、馬、ラクダなどの家畜の群れを見る。遊牧民のテントのゲルもよく見かける。 ゲルの中からは、バイクのエン…

六大陸食紀行:第13回 中央アジア・新疆

(共同通信配信 1998年~1999年) 北に天山山脈、南に崑崙山脈、西にパミール高原と、高い山々に囲まれた中央アジアのタクラマカン砂漠を一周した。その出発点は中国・新疆ウイグル自治区の中心地ウルムチ。 オアシスの町や村の食堂で一番よく食べた…

六大陸食紀行:第12回 東南アジア・カンボジア

(共同通信配信 1998年~1999年) 「インドシナ一周」の最後はベトナム国境からタイ国境までのカンボジア横断だ。内戦の最中で、情勢のきわめて悪い時期。それこそ命を張ってのカンボジア横断になったが、その中でも私はしっかりと食べ歩いた。 首都…

六大陸食紀行:第11回 東南アジア・ベトナム

(共同通信配信 1998年~1999年) ラオス北部のほとんど交通量のない山道を走り、タイチャン峠に到着。幾重にも重なり合った山々を一望する。 峠がラオスとベトナムの国境で、峠上にはベトナムの国境警備隊の事務所と宿舎があった。すんなりとベトナ…

六大陸食紀行:第10回 東南アジア・ラオス

(共同通信配信 1998年~1999年) 「インドシナ一周」で走ったラオスは忘れられない国だ。 首都のビエンチャンから北に400キロ走ると古都ルアンプラバンに着くが、市場を歩き、屋台で麺を食べ、メコン川の岸辺を歩いた。河港には何隻もの船がつな…

六大陸食紀行:第9回 東南アジア・タイ

(共同通信配信 1998年~1999年) 「インドシナ一周」の出発点タイのバンコクには一ヵ月以上滞在したが、その間は“現地食主義カソリ”の本領を発揮して、毎日、せっせとタイ料理を食べあるいた。 朝食で一番気にいったのはカオトムクン。カオトムとは…

六大陸食紀行:第8回 西アジア

(共同通信配信:1998年~1999年) 「50㏄バイク世界一周」のアジア編ではイスタンブールからカルカッタへと西アジアを横断したが、そこで一番よく食べたのものは主食のパンのナンである。 ナンは小麦粉に塩を加えて水でこね、それを半日ほど寝かせ…

六大陸食紀行:第7回 ヨーロッパ・ドイツ

(共同通信配信 1998年~1999年) 「50㏄バイク世界一周」のロンドンからアテネまでのヨーロッパ横断で、一番、印象に残っている味といえば、ドイツのソーセージだ。通り過ぎていく町々の広場では、ソーセージを焼いている屋台をよく見かけ、何度と…

六大陸食紀行:第6回 アメリカ

(共同通信配信 1998年~1999年) 「50㏄バイク世界一周」の出発点はアメリカのロサンゼルス。バイク引き取りまでの2週間近くをここで過ごした。 ロサンゼルスの銀座通りともいえるブロードウェイを歩いていて驚かされたのは、メキシコ人の多いこと…

六大陸食紀行:第5回 南米・アマゾン

(共同通信配信 1998年~1999年) ブラジルのアマゾン川流域のセルバを行く。セルバとは大密林地帯。高木が空を突き、密林の中は“昼なお暗い”世界。樹海という言葉がぴったりだ。その樹海を伐り開き、シャシだけの専用トラックが原木を運び出してい…

六大陸食紀行:第4回 南米・アンデス

(共同通信配信 1998年~1999年) 「南米一周」で心に残っているのはアンデス山脈の峠越え。4000m級の峠だけでも全部で25峠を越えた。最高所の峠はペルーの標高4843mのチクリヨ峠だった。 太平洋側の低地からアンデスの4000m級の峠…

六大陸食紀行:第3回 西アフリカ・熱帯雨林地帯

(共同通信配信:1998年~1999年) 北の地中海から南のギニア湾を目指してのサハラ縦断でおもしろいのは、砂漠を抜け出て南下すると、どんどん緑が増え、サバンナから熱帯雨林へと鮮やかにかわっていく風景を見られることだ。 サバンナでは雑穀を主…

六大陸食紀行:第2回 西アフリカ・サバンナ地帯

(共同通信配信:1998年~1999年) 西アフリカのサハラ砂漠以南のサバンナ地帯では、雑穀を栽培し、それを主食にしている。私が行ったのは乾期の11月で雑穀の収穫が終わる頃。バイクで走り過ぎていく村々では、収穫した雑穀の穂を穀物倉に入れたり、…

六大陸食紀行:第1回 サハラ砂漠

(共同通信配信:1998年~1999年) 私はこの30年間、バイクで世界を駆けまわっているが、とくにこの10年あまりは「食」に興味を持って旅している。私のやりかたは徹底した現地食主義。バイクで世界を走りながら口にした様々なものをみなさんにお伝え…