賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

鵜ノ子岬→尻屋崎2012

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(36)

「松島センチュリーホテル」に戻ると朝食。ボリューム満点の朝食を食べ終ると、スズキ二輪のMさんとホテルを出る。 8時30分、「スズキきずなキャリーキャラバン」のみなさんの乗った車がホテルにやってきた。さー、出発だ。 V-ストロームでMさんの乗…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(35)

翌朝、目覚めるとすぐに「松島センチュリーホテル」の朝湯に入った。最高の気持ち良さ。 ぼくは温泉が好きだ。とくに目覚めてすぐに入る朝湯が好きなのだ。ここは絶景湯。大浴場の湯につかりながら「日本三景」の松島を眺めた。 湯から上がると、「松島セン…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(34)

南三陸町の志津川から国道45号→国道398号で女川へ。 女川の町跡でV-ストロームを止めたが、見れば見るほど、すさまじいやられ方だ。 今回の「平成三陸大津波」では、高さ35メートルの大津波が女川の町を襲い、中心部はほぼ全滅した。強い引き波によ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(33)

大船渡を出発し、国道45号を南へ。 通岡峠を越えて陸前高田市に入り、高田の被災地を走り抜けていく。大津波に直撃されて全壊した道の駅「高田松原」が、再びオープンする日を願うばかりだ。 それにしてもすごいのは、国道をはさんで道の駅と反対側のセル…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(32)

山田からは国道45号を南下する。 大槌では仮店舗の「復興食堂」でV-ストロームを止めた。復興丼の「おらが丼」を食べたかったのだが、残念ながら「準備中」。 釜石に到着したのは16時。少し早かったが「釜石で泊まろう!」と、釜石駅前まで行き、駅周…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(31)

JR山田線の陸中山田駅近くの食堂「いっぷく」で昼食を食べると、山田にはまったく雪がなかったので、 「これなら行けるかもしれない」 とばかりに、本州最東端の岬、トドヶ崎を目指すことにした。岬入口の姉吉は今回の大津波では38・9メートルという最…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(30)

大津波に襲われて全滅した田老の町跡の端から端まで歩き、10時に田老駅に戻ってきた。わずか2時間だが、この間に気温は上がり、路面の雪は溶け、アイスバーンもシャーベット状になっていた。 「それ、行け!」 と、気合を入れて田老の駅前を出発。 スズキ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(29)

三陸鉄道北リアス線の田老駅を出発点にして雪の田老を歩く。 まずは田老駅のホームに上がる。三陸鉄道北リアス線のうち、宮古~小本間は開通している。午前2便、午後2便と、1日4便の列車が走っている。 田老駅前からは国道45号を越え、残った巨大防潮…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(28)

3月14日。「グリンピア三陸みやこ」の夜明け。 部屋の窓から明けゆく東の空を眺める。やがて太平洋の水平線から朝日が昇る。高台上にある「グリーンピア三陸みやこ」は大津波の被害を受けることもなく、無傷で残った。「東日本大震災」のあとはしばらく被…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(27)

山田の国道45号では車に乗ったkoshiさんに出会った。いままでに何度となく出会ったkoshiさんと、一緒に宮古まで行く。 山田の町を過ぎると、雨が雪に変わった。国道45号のブナ峠が大きな難所だったが、無事に越えられた。 宮古に到着したのは…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(26)

釜石市から国道45号で大槌町に入り、国道45号の旧道で町の中心街に入っていく。 大槌は高さ22メートルの大津波に襲われ、町は全壊。1300人弱という多数の町民が犠牲になった。 大槌町の中心街を抜け出たところで国道45号に合流し、次に山田町に…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(25)

釜石を出発。国道45号を行く。トンネルを抜け出ると両石湾の両石に出る。漁港は巨大な防潮堤で囲まれている。 国道45号は震災前も何度となくバイクで走ったが、この両石漁港の巨大防潮堤を見るたびに、あまりの大きさから「無用の長物だ!」ぐらいに思っ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(24)

国道45号で釜石へ。 町の入口にある「釜石大観音」(拝観料500円)を見に行く。ここは震災直後から営業している。展望台からは釜石湾を一望。湾口の防波堤は見るも無惨に破壊されている。 この湾口防波堤は1200億円もの巨費を投じて2009年に完…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(23)

綾里からさらに県道9号を走り越喜来(おっきらい)へ。 越喜来湾の一番奥に位置する越喜来も、今回の「平成三陸大津波」では大きな被害を受けた。リアス式海岸の三陸海岸はこのようにいくつもの湾が連続するが、湾の一番奥にある町々はどこも壊滅的な状態だ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(22)

岩手県大船渡市の中心、大船渡からは県道9号で綾里へ。ここは津波の特異地帯といってもいいほどで、明治29年(1896年)6月15日の「明治三陸大津波」では38・2メートルという最大波高を記録した。 「明治三陸大地震」によってひきおこされた「明…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(21)

陸前高田市の広田半島の広田崎と黒崎の2つの岬に立ち、一ノ関駅と大船渡の盛駅を結ぶJR大船渡線(気仙沼駅~盛駅間は運休中)の踏み切りを渡る。 大津波の直撃を受けてグニャグニャに曲がって流された線路は撤去されている。しかし大船渡線の復興、開通ま…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(20)

気仙沼からは国道45号をさらに北上し、県境を越え、宮城県から岩手県の陸前高田市に入っていく。 気仙川の河口にかかる気仙大橋は大津波で流された。そのため陸前高田の町に入っていくのには、気仙川沿いにさかのぼり、大きく迂回し、国道343号→340…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(19)

国道45号で南三陸町から気仙沼市に入っていく。 元吉の手前で津谷川の河口にかかる小泉大橋の仮橋を渡った。この仮橋完成以前は狭い迂回路に入り、大きく迂回しなくてはならなかったが、こうして三陸海岸幹線の国道45号で一気に走っていかれるようになる…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(18)

石巻市から国道398号で南三陸町に入り、いかにも大津波を連想させるような地名の「波伝谷」を通り、国道45号に合流。合流地点には仮設の「セブンイレブン」ができている。 志津川湾の波静かな海を見ながらVストロームを走らせる。 以前は「海の畑」を…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(17)

国道398号沿いの民宿「小滝荘」の朝食を食べ、7時出発。スズキV-ストロームを走らせ、相川漁港へ。 ちょうどそこでは震災後初の三陸産ワカメの水揚げが始まっていた。みなさんの生き生きとした表情が印象的。やっとワカメを採れるようになったという喜…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(16)

女川から国道398号で三陸のリアス式海岸を行き、ふたたび石巻市に入る。 旧雄勝町雄勝の公民館の屋根上に乗ったバスは3・11から1年を機に下に降ろされたが、雄勝湾の一番奥に位置する雄勝の町には何も残っていない。女川同様、町が消え去った。瓦礫が…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(15)

JR仙石線の野蒜駅跡をあとにすると、県道27号から鳴瀬川の堤防上の道を走り、国道45号に合流。東松島市の中心、矢本を通り、石巻の海岸地帯を走る。大きな被害を受けた日本製紙の石巻工場は全面復旧し、操業している。それにしても日本製紙石巻工場の…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(14)

名取川河口の閖上から県道10号を北上し仙台へ。 仙台港周辺も大津波で大きな被害を受けたところだが、大半の工場は操業を再開している。ここでは仙台港のフェリー埠頭でスズキV-ストロームを停めたが、ちょうど太平洋フェリーの「いしかり」が名古屋港に…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(13)

宮城県亘理町の荒浜を出発。県道10号に戻ると、亘理大橋で東北第2の大河、阿武隈川を渡り、岩沼市に入っていく。 県道20号との交差点を過ぎると仙台空港の滑走路下のトンネルに突入。「東日本大震災」の2ヵ月後に来たときは、このあたり一帯はすさまじ…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(12)

福島県の新地町から国道6号で宮城県の山元町に入った。 山元町の海岸地帯でも、新地町同様、津波による大きな被害を受けた。常磐山元自動車学校の送迎バス5台が津波に飲み込まれ、教官と教習生39人が犠牲になるといった悲劇を含め、700人弱もの死者・…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(11)

松川浦から海岸近くの県道38号を北上。相馬市から新地町に入ると、新地の火力発電所前を通るが、この石炭火力の発電所は操業を再開している。 かつての新地の町跡に到着。海沿いの町並みは消え去り、家々のコンクリートの土台だけが残っている。まるで遺跡…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(10)

相馬市の蒲庭温泉「蒲庭館」の朝湯に入り、大広間での朝食。この近くには東北電力の原町火力発電所があり、その復旧工事の作業員のみなさんで宿はほぼ満員。 温泉卵、のり、塩ジャケの朝食を食べ、8時出発。カソリのV-ストロームが先頭を走り、斎藤さんの…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(9)

南相馬市では相馬野馬追の原町の騎馬武者軍団が出発する太田神社を参拝し、国道6号の通行止地点まで行った。そこが爆発事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所20キロ圏の北側になる。 南相馬市は2006年1月、原町市と鹿島町、小高町の1市2町が…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(8)

相馬駅前を出発点にして相馬市、南相馬市の「相馬」をめぐる。 まずは相馬市の中心の中村だ。 福島から相馬までは国道115号で霊山を越えてやって来たが、この国道115号の「福島→相馬」間は中村街道といわれている。中通りの福島と浜通りの中村を結ぶ街…

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(7)

「鵜ノ子岬→尻屋崎」の東北太平洋岸ツーリングは出だしから大きなピンチを迎えた。 「国道6号が走れれば、何ということもないのに…」 と、改めて爆発事故を起こした東電福島第1原発に、ムラムラッと胸にこみあげてくる怒りを感じた。 東電福島第1原発の爆…