「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(31)
JR山田線の陸中山田駅近くの食堂「いっぷく」で昼食を食べると、山田にはまったく雪がなかったので、
「これなら行けるかもしれない」
とばかりに、本州最東端の岬、トドヶ崎を目指すことにした。岬入口の姉吉は今回の大津波では38・9メートルという最大波高を記録したところだ。
山田漁港から海沿いの道で重茂半島に入っていく。
真っ青な山田湾の海を見ながらV-ストロームを走らせる。
山田湾は養殖漁業の盛んな海だった。「東日本大震災」以前の海は一面にびっしりと養殖筏で埋め尽くされ、まるで「海の畑」といった風景だった。その養殖筏がまだほとんど見られない。
海岸を離れ、山中に入っていく。するとあっというまに雪道に変わる。ツルツル滑りながら走ったが、雪はどんどん多くなる。
「これは無理だ」
と、ついに姉吉まで行くのを断念し、山田に戻った。
山田からは国道45号を南下する。
船越半島に入っていく道との分岐点を過ぎたところに道の駅「やまだ」がある。ここは大津波にもやられず、無事に残った。すぐ下の船越半島につながっている一帯は大津波に激しくやられたので、ここでも1本の線を境にして天国と地獄を分けた現場を見た。
道の駅「やまだ」の一角には、大津波に襲われた直後の山田の写真が展示されている。すさまじいばかりの惨状。大津波に追い討ちをかけるように大火にも見舞われた山田は、足の踏み場もないような「瓦礫の町」と化したのだ。
山田漁港には船の残骸
波静かな山田湾
姉吉への道
姉吉に近づくにつれて雪が多くなる
ここで断念…
国道45号の道の駅「やまだ」
大津波直後の山田の惨状