賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(27)

 山田の国道45号では車に乗ったkoshiさんに出会った。いままでに何度となく出会ったkoshiさんと、一緒に宮古まで行く。

 山田の町を過ぎると、雨が雪に変わった。国道45号のブナ峠が大きな難所だったが、無事に越えられた。

 宮古に到着したのは夕暮れ。雪がボソボソ降っている。宮古の町を通り過ぎたところでkoshiさんと別れた。宮古からはナイトランで青森県の八戸まで行くつもりだった。

 雪の国道45号を行く。気温が急激に下がり、雪が激しくなる。あっというまに路面は真っ白だ。

「ヤバイ!」

 このままでは転倒だ…。

 V-ストロームの速度を落とし、路肩をソロソロと走る。

 トンネルを抜け出た下り坂が恐怖。

「あー、もうダメだ…」

 と何度、思ったことか。

 田老に近づいた。

 そのときV-ストロームのすぐ後を走ってくれている車に気がついた。何とkoshiさんではないか。koshiさんはぼくのことを心配して戻ってきてくれたのだ。

 田老に到着。とにかく三陸鉄道田老駅まで行こうと思った。それが簡単ではない。国道45号を左に折れ、わずかに下らなくてはならない。

「ここは勝負だ!」

 と、ツルツルの雪道を下り、ついに転倒することなく田老駅に着いた。

 雪はより激しくなり、もうまったく身動きがとれない。こういうときのためにキャンピング用具一式を持ってきていたので、田老駅の駐車場でひと晩、寝ようと思った。

 するとkoshiさんは、

「バイクを置いて、グリーンピアまで行ってみましょう」

 という。

 V-ストローム田老駅の駐車場に置くと、koshiさんの車に乗せてもらい、田老の「グリーンピア三陸みやこ」まで行った。すると何ともラッキーなことに飛び込みで泊まれた。

 レストランで一緒に食事し、宮古に帰っていくkoshiさんを玄関で見送ったが、地獄で出会った仏のような人だった。

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「グリンピア三陸みやこ」に到着

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「グリンピア三陸みやこ」の夕食