「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(21)
陸前高田市の広田半島の広田崎と黒崎の2つの岬に立ち、一ノ関駅と大船渡の盛駅を結ぶJR大船渡線(気仙沼駅~盛駅間は運休中)の踏み切りを渡る。
大津波の直撃を受けてグニャグニャに曲がって流された線路は撤去されている。しかし大船渡線の復興、開通までには相当、時間がかかることだろう。
陸前高田市から大船渡市に入り、末崎半島南端の碁石岬に立った。絶景岬の展望台からは正面に長々と横たわる宮城県の唐桑半島を、右手には陸前高田市の広田半島を見る。それにしても海が青い。
岬近くの漁港は壊滅的にやられ、周囲の堤防も大きく破壊されていたが、熊野神社の日本一の大椿、樹齢1400年の「三面椿」は残った。大津波は神社の鳥居前まで来ていた。ここでも神仏の目に見えない力のすごさを見せつけられた。
碁石岬でうれしかったのは、震災直後、手回しの簡易給油機で早々に営業を再開したガソリンスタンドが、しっかりと復旧していたことだ。
「頑張ってるなぁ!」
と、思わず声が出る。
末崎半島から国道45号に出たところにある「つばき亭」で再度の昼食。「刺身定食」(1200円)を食べた。この店には震災直後に入ったことがある。そのときの店の若奥さんの一言は忘れられない。
「海は子供の頃から大好きだったのに…。(そんな海が)大嫌いになってしまって…」
国道45号から海沿いの道に入り、魚市場前でV-ストロームを停めた。
魚市場は再開されている。魚市場前にはコンビニの「ヤマザキ」が新しくオープンし、漁業関連の店もオープンしている。製氷工場も完成している。大船渡漁港では復興に向けてのみなさんの「熱気」が伝わってくるようだ。
JR大船渡線の線路に沿って走り、大船渡の中心街へ。瓦礫はほとんど取り除かれている。大船渡駅の周辺が大船渡の中心街になるが壊滅状態だ。さらに大船渡線の線路に沿って走り盛駅へ。そこが大船渡線の終点になる。
盛駅の駅前通り周辺は、大津波の影響をほとんど受けていない。ここでもわずかな高さの違い、地形の違いによる大津波の被害の有無、被害の濃淡を見せつけられるのだった。
碁石岬の展望台
大船渡湾
大船渡漁港の魚市場
大船渡の中心街
2011年5月19日のJR大船渡線
2011年5月19日の大船渡