「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(38)
翌朝も、夜明けとともに起きた。「松島センチュリーホテル」の朝湯に入り、湯から上がると松島を歩いた。天気予報は雨だったが、青空が広がっているのがうれしい。
7時、朝食。
8時30分、スズキ二輪のMさんとホテルを出る。
「スズキきずなキャリイキャラバン」のみなさんの乗った車がホテルにやってくると、V-ストロームでその後について走った。
今日の目的地も石巻だ。
「スズキきずなキャリイキャラバン」は石巻の中心街、合同庁舎前にある「山口輪業」に到着。ここは石巻の海岸から4キロ近くも離れているのに大津波に襲われ、「山口輪業」は全壊した。
社長の山口さんは目の前の合同庁舎に逃げ込み、その後は5、6キロも離れた避難所暮らしがつづいた。避難所では大変な思いをしたが、骨身を惜しんでリーダー役を務めたという。
山口社長のバイク店にかける想い、情熱にはものすごいものがある。
毎日、避難所から「山口輪業」まで通い、メチャクチャになった店のあとかたずけをした。全国から駆けつけてくれたボランティアの人たちにはずいぶんと助けられた。とくにライダーの力が大きかったという。
すべてを流されてしまったので一からの出直しだったが、
「俺は日本一の借金大魔王!」
といって笑い飛ばすような豪快な山口さんは、借りられるだけのお金を借りて、被災後、何と1ヵ月で仮店舗をオープンさせた。
まさに「不屈の男」だ。
前日と同じように、ここ「山口輪業」から大阪モーターサイクルショー会場のスズキ・ブースのMC原智美さんに携帯で午前1回、午後2回、大津波に襲われた石巻の様子や「山口輪業」の様子、店の復興の進み具合などを話し、山口社長にも登場してもらった。
それにしても不思議な気分だったのは、「アナログのカソリ」といわれるくらいで、
「携帯などは絶対に持たない!」
といってたのに、こうして自分が携帯で石巻から大阪モーターサイクルショーに来てくれているみなさんに話かけていることだ。会場のみなさんからの質問にも携帯で答えた。
天気予報は当り、午後から雨になった。
15時30分、「スズキきずなキャリイキャラバン」はバイク、スクーターの無料点検を終え、「山口輪業」を出発。みなさんと一緒に石巻から気仙沼へと向かった。
夜明けの松島を歩く
松島のカキ漁の船
「松島センチュリーホテル」を出発
松島湾を眺める
石巻の「山口輪業」での「スズキきずなキャリイキャラバン」
昼食の弁当