賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

岬めぐり

日本列島岬めぐり:第20回 弁慶岬(べんけいみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 積丹半島の付け根の岩内から国道229号を日本海に沿って南下した。その途中の雷電岬や弁慶岬は、義経の「北行伝説」の地である。 伝説によると、義経と弁慶の主従は奥州・平泉の衣川の戦いで敗れ去ったのではなく、それ以前に…

日本列島岬めぐり:第19回 神威岬(かむいみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 「リンゴの町」、余市から国道229号で積丹半島に入っていった。積丹半島の日本海に突き出た岬には、北端の積丹岬と北西端の神威岬の2岬がある。 積丹岬には道の行き止まり地点まではバイクで行き、そこからは荒れた山道を歩…

日本列島岬めぐり:第18回 雄冬岬(おふゆ岬・北海道)

(共同通信配信 1990年) JR留萌線の終着、増毛駅前には豪壮な木造三階建ての旅館が建ち、ニシン漁で栄えたかつての増毛の繁栄ぶりをしのばせる。 そんな増毛から国道231号を日本海に沿って南下し、雄冬岬に向かう。1000メートル級の山並みがそ…

日本列島岬めぐり:第17回 宗谷岬(そうやみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) オホーツク海沿いの国道238号を一路北に向かい、日本本土最北端の宗谷岬に到着。北緯45度31分41秒の「日本最北端の碑」に立つと、目の前の宗谷海峡を隔てて水平線上にくっきりとサハリンの島影が浮かび上がっている。 …

日本列島岬めぐり:第16回 能取岬(のとろみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 知床半島突端の知床岬から、日本本土最北端の宗谷岬までのオホーツク海の海岸線は単調だが、その間には網走の能取岬がある。キタキツネがよくやってくる。 JR網走駅前から北の12キロ走ると、能取岬に到着。岬周辺の広々とし…

日本列島岬めぐり:第15回 納沙布岬(のさっぷみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 日本の数ある岬の中でも、東西南北端の岬というのは、特別に感慨深いものがある。 日本本土最東端の納沙布岬もそのひとつ。 根室半島突端の東経145度49分13秒の納沙布岬には根室から向かった。その途中には「返せ! 北方…

日本列島岬めぐり:第14回 襟裳岬(えりもみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 原始のにおいをとどめる日高山脈が、北太平洋に落ち込む地点が襟裳岬だ。 北の狩勝峠から南の襟裳岬に到る120キロもの長大な日高山脈は、氷河地形のカールをいくつも残し、深い原生林に覆われ、北海道でも最も人里離れたとこ…

日本列島岬めぐり:第13回目 地球岬(ちきゅうみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 北海道屈指の重工業都市であり港湾都市でもある室蘭は、太平洋と内浦湾(噴火湾)を分けるようにして突き出た絵柄半島のつけ根に位置している。その絵柄半島南端の岬が地球岬だ。 まずは半島西端の絵柄岬に行った。岬の展望台に…

日本列島岬めぐり:第12回 恵山岬(えさんみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 北海道・亀田半島東端にそびえる恵山は標高618メートル。ツンと尖った特徴のある山だ。二重式の活火山で、白い噴煙をたなびかせている。5月、6月ともなると、ツツジの花が全山を埋め尽くす。そんな恵山の周辺には温泉が何…

日本列島岬めぐり:第11回 立待岬(たちまちみさき・北海道)

(共同通信配信 1990年) 北海道の第一歩は函館だ。 函館駅近くの朝市を見てまわり、早朝からやっている谷地頭温泉の湯に入り立待岬へ。 海岸に出る前から、住宅街の道路わきでは、コンブを干している。その光景はいかにも北海道らしい。幅広の、飛び切…

日本列島岬めぐり(10) 大間崎(おおまざき・青森)

(共同通信配信 1990年) 本州最北端の大間崎には、下北半島の中心、むつ市の田名部から国道279号で向かった。津軽海峡に出ると大畑へ。イカ漁の基地になっている大畑漁港を見てまわりる。 さらに国道279号を行き、海辺の峠、木野部峠を越え、下風…

日本列島岬めぐり(9) 尻屋崎(しりやざき・青森)

(共同通信配信 1990年) 斧そっくりの形をした下北半島の東北端が尻屋崎。本州の東北端でもある。 津軽海峡に沿ってバイクを走らせ尻屋崎に近づくと、石灰岩を採掘する鉱山前を通る。背後にそびえる標高400メートルの桑畑山は石灰岩の宝庫。埋蔵量は…

日本列島岬めぐり:第8回 とどヶ崎(岩手)

(共同通信配信 1990年) 「みなさん、本州の最東端って、どこですか?」 と、クイズを出してみたくなるほど、本州最東端の岬は知られていない。 答えは重茂半島のとどヶ崎だ。 三陸海岸を貫く幹線の国道45号を北上し、カキやホタテの養殖が盛んな山田…

日本列島岬めぐり:第7回 御崎(おさき・宮城)

(共同通信配信 1990年) 唐桑半島突端の御崎まで行く前に、日本でも有数の遠洋漁業の基地である気仙沼漁港に立ち寄った。 港では遠洋マグロ漁船の完成祝いを見た。新造船は大漁旗を満艦飾にひるがえらせ、ボリュームをいっぱいに上げたスピーカーから大…

日本列島岬めぐり:第6回 黒崎(くろさき・宮城)

(共同通信配信 1990年) 旧北上川河口の石巻からコバルトラインで牡鹿半島に入り、半島最南端の岬、黒崎に向かった。 牡鹿半島は北上山地の南の果て。地図で見ると、身をむしりとられて骨だけになった魚のような格好をしている。コバルトラインはそんな…

日本列島岬めぐり:第5回 塩屋崎(しおやざき・福島)

(共同通信配信 1990年) 太平洋岸の国道6号を北上。茨城県から福島県に入ったところで、小高い丘の上にある「勿来の関址」に寄っていく。ここは白河、念珠と並ぶ「奥州の三関」。「勿来」の2文字に、みちのくに入ったという実感が胸にこみあげてくる…

日本列島岬めぐり:第4回 鵜ノ岬(うのみさき・茨城)

(共同通信配信 1990年) どこを見ても、「HITACHI」一色の企業城下町の日立から、国道6号を北上して鵜ノ岬へ。 断崖絶壁の岬の北側は伊師浜海岸。長い砂浜がつづく絶好の海水浴場になっている。季節は夏。海水浴場は大勢の人たちでにぎわってい…

日本列島岬めぐり:第3回 犬吠埼(いぬぼうざき)

(共同通信配信 1990年) 「銚子ぱずれ」の犬吠埼に行く前に、刑部(ぎょうぶ)岬に立った。足元には飯岡の街並みが広がり、その向こうには九十九里の長い砂浜が果てしなく延びている。 刑部岬から銚子半島に入っていく。半島最高所の愛宕山(74m)頂…

日本列島岬めぐり:第2回 野島崎(のじまざき・千葉県)

(共同通信配信、1990年) 房総半島最南端の野島崎には館山から入っていった。 南房州の玄関口、JR内房線の館山駅前にはフェニックスやカナリーヤシが空を突き、いかにも「黒潮の国・安房」を感じさせた。 東京湾の出口に突き出た岬の洲崎に立ち寄った…

日本列島岬めぐり:第1回 富津岬(ふっつみさき・千葉県)

(共同通信配信、1990年) 千葉県南西部の富津岬の付け根が富津である。 富津の街中に入っていくと、民宿の看板をあちこちで見かけ、魚のにおいが鼻をつく。海水浴場がすぐ近くにあるので、地元の子供たちは真っ黒に日に焼け、「海の子」そのもの。都会…