日本列島岬めぐり:第13回目 地球岬(ちきゅうみさき・北海道)
(共同通信配信 1990年)
北海道屈指の重工業都市であり港湾都市でもある室蘭は、太平洋と内浦湾(噴火湾)を分けるようにして突き出た絵柄半島のつけ根に位置している。その絵柄半島南端の岬が地球岬だ。
まずは半島西端の絵柄岬に行った。岬の展望台に立つと、内浦湾の海岸線を一望する。活火山の有珠山や昭和新山が見える。さらには対岸の駒ヶ岳もよく見える。
絵柄岬周辺の絵柄は室蘭発祥の地。アイヌ語の「突き出た頭」、つまり岬を意味するエンルムに由来する地名だとのことで、江戸時代初期に開かれてからというもの、明治維新まではこの地方をいいあらわす地名だった。
絵柄岬から地球岬にかけての海岸線はすごい!
重工業都市の室蘭がすぐ近くにあるとはとても思えないような断崖絶壁が連続する。
人を寄せつけない険しさで、銀屏風、ハルカラモイ、ローソク岩などの名所が点在している。
テレビ塔のある測量山の山頂に登ると、室蘭港に面した室蘭の市街地を足元に見下ろした。
そして最後に地球岬に立った。
「地球」の名前にひかれてやってくる人たちでにぎわう岬には、その名にふさわしく、電話ボックスも水のみ場も地球儀を模している。
「地球広場」と名づけられた展望台の広場の直径は12・8メートルで、地球の100万分の1のスケールだという。そんな地球広場には、モザイク模様の世界地図が描かれている。室蘭がその中心になっている。
「世界の中心は室蘭!」
と、声高にいっているようだ。
その気宇壮大さがたまらない。
地球岬の安山岩が露出した高さ100メートル以上の断崖は目もくらまんばかりで、垂直に、ストンと海に落ち込んでいる。
岬の先端に立つ灯台のあたりは、アイヌ語で「ポロテケウ」(断崖絶壁の意味)と呼ばれていたという。それを「地球岬」にしたところにネーミングの絶妙なうまさを感じる。岬にはその名前にひかれて行ってみたくなるところが多分にあるからだ。