日本列島岬めぐり:第18回 雄冬岬(おふゆ岬・北海道)
(共同通信配信 1990年)
JR留萌線の終着、増毛駅前には豪壮な木造三階建ての旅館が建ち、ニシン漁で栄えたかつての増毛の繁栄ぶりをしのばせる。
そんな増毛から国道231号を日本海に沿って南下し、雄冬岬に向かう。1000メートル級の山並みがそのまま海に落ち込む雄冬海岸は険しく、国道を阻む自然の大きな障害になっていた。この国道231号が開通したのは1981年のことでしかない。着工以来、23年の歳月をかけての完成だった。
雄冬海岸に入るとカムイエ崎、マッカ崎、日方崎、観音崎、赤岩崎と岬がつづき、赤茶けた岩山がそのままストンと海に落ちている。国道231号は連続するトンネルで、これらの岬を通りぬけていく。
雄冬岬の手前に戸数77戸の雄冬の集落がある。最近まではニシン番屋が残っていたほどで、かつては増毛と同じようにニシン漁で栄えた。雄冬は国道が開通するまではまさに「陸の孤島」で、1日1便の増毛港に通う定期船が唯一の交通機関になっていた。
アキアジ(サケのこと)漁でにぎわう雄冬漁港を見る。刺し網にからみついたアキアジを忙しげに取ってはプラスチックの容器に入れていた。
雄冬漁港の目の前に立ちふさがるようにして、日本海に突き出た岬が雄冬岬だ。安山岩、蛇紋岩などが高さ100メートル以上もある切り立った断崖をつくり、昔から「西蝦夷三険岬」のひとつとして恐れられてきた。
雄冬岬をトンネルで抜け、浜益の海岸に出ると、風景は一変する。断崖の連続する海岸線からスーッと延びる長い砂浜に変ったのだ。そこでは大勢の人たちが釣りをしていた。釣り人たちは1人で何本もの釣竿を立て、アキアジを釣っていた。