賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(9)中部編(その2)

147、ほうとう(山梨) ほうとうといえば甲州ではなくてはならない家庭料理。とくに山村では毎夕といっていいくらいに食べている。それだから飯を“ご飯”というように、ほうとうと呼び捨てにしないで“おほうとう”と“お”をつけるのが一般的だ。ほうとうは小…

シルクロード横断:第25回 ヤルカンド→カシュガル

2006年9月11日16時、ヤルカンドに到着。この時間だと、真昼同然で暑さが厳しい。ヤルカンドはウイグル語名。中国名だと莎車になる。目抜き通りの「徳隆賓館」が我々の宿。部屋に荷物を置くとすぐに町に飛び出しプラプラ歩いた。バイクを降りたあと…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(8)中部編(その1)

114、ゼンマイ煮モン(新潟) 雪国・越後の中でもより雪の深い魚沼地方の山菜の味は格別だ。そのなかでもゼンマイは“山菜の王様”的存在。ゼンマイ料理の代表といえば“ゼンマイ煮モン(ゼンマイの煮物)”だ。まずはアク抜きして天日で乾燥させたゼンマイを…

日本列島岬めぐり:第2回 野島崎(のじまざき・千葉県)

(共同通信配信、1990年) 房総半島最南端の野島崎には館山から入っていった。 南房州の玄関口、JR内房線の館山駅前にはフェニックスやカナリーヤシが空を突き、いかにも「黒潮の国・安房」を感じさせた。 東京湾の出口に突き出た岬の洲崎に立ち寄った…

日本列島岬めぐり:第1回 富津岬(ふっつみさき・千葉県)

(共同通信配信、1990年) 千葉県南西部の富津岬の付け根が富津である。 富津の街中に入っていくと、民宿の看板をあちこちで見かけ、魚のにおいが鼻をつく。海水浴場がすぐ近くにあるので、地元の子供たちは真っ黒に日に焼け、「海の子」そのもの。都会…

カソリが選んだ「ニッポン郷土料理」(7)関西編(その2)

93、サバずし(京都) 京都人は昔から祭りや祝い事があるたびに、サバずしをつくってきた。そのサバというのは、若狭でとれたサバで、京都から若狭に通じる街道は「鯖街道」といわれるほどだ。日本海の浜でひと塩されたサバが峠を越えて京都に着くころには…

(16)「50㏄バイク日本一周」(1978年)の「食堂の薩摩美人」

鹿児島の大隅半島では、あまりの空腹に耐えかね、日が暮れると早々に食堂に飛び込んだ。客はぼくのほかにはいなかった。我が目を疑うというのはこのことで、食堂の女性は若いころの大原麗子のようなすごい美人なのだ。 そんな「食堂の薩摩美人」にみとれなが…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(6)関西編(その1)

75、鮒ずし(滋賀) 琵琶湖産のニゴロウブナやゲンゴロウブナを使った鮒ずしは、現存するすしの中では日本最古のものといわれている。塩漬けにした鮒をさらに飯(い)ずしにしたもので、できあがるまでに、何ヵ月もの日数がかかる。独特の臭いがあるので、…

シルクロード横断:第24回 ホータン→ヤルカンド

2006年9月10日14時、ホータンに到着。 時間はまだたっぷりある。日は高く、まだ12時前といった感覚だ。ぼくはどうしても崑崙山脈を見たかった。「ニヤ→ホータン」間の「西域南道」は崑崙山脈の北麓を通っているが、崑崙の山並みはまったく見えな…

シルクロード横断:第23回 ニヤ→ホータン

崑崙山脈の北麓、「西域南道」のオアシス、ニヤに着くと「尼雅賓館」に泊まった。樹木に囲まれた静かな宿。ニヤの住民の大半はウイグル族。いわゆる中国人の漢族は15パーセントほどの人口でしかない。「ニヤ」はウイグル語だが、中国名だと「民豊」(ミン…

(15)「ヨーロッパ一周」(1969年)の「食堂の少女」

1969年4月8日、ジブラルタル海峡をわたってスペインのアルヘシラスに到着。そこから地中海に沿ってフランス、イタリアと走り、ユーゴスラビアに入った。 アドリア海からジナルアルプス山脈の峠に向かったが、春の遅いヨーロッパ、峠道を登るにつれてあ…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(5)山陰編

57、萩かまぼこ(山口) 「萩かまぼこ」の主流は“焼き抜き”という独特の製法によるもの。まっ白なかまぼこの表面はやや固く、饅頭の皮のようなシワシワがあり、シコシコとした歯ごたえがあるのが大きな特徴だ。酒の肴にしてもうまい。この萩かまぼこの歴史…

カソリの峠越え(3) 九州編(その3):筑肥山地の峠 (Crossing Ridges in Japan: Kyushu Region)

(『月刊オートバイ』1996年8月号所収) 福岡・佐賀県境の背振山地の峠越えを終えたあとは、久留米近郊の長門石温泉に泊まった。“筑紫次郎”と呼ばれる九州第一の大河、筑後川河畔にある温泉だ。 翌日(1995年12月14日)は久留米を出発点に南下…