シルクロード横断:第25回 ヤルカンド→カシュガル
2006年9月11日16時、ヤルカンドに到着。この時間だと、真昼同然で暑さが厳しい。ヤルカンドはウイグル語名。中国名だと莎車になる。目抜き通りの「徳隆賓館」が我々の宿。部屋に荷物を置くとすぐに町に飛び出しプラプラ歩いた。バイクを降りたあとの町歩きは楽しい。携帯電話の店は黒山の人だかり。10余年前の「タクラマカン砂漠一周」のときには想像もつかない光景だ。
ひととおり町を歩いたところでタクシーをチャーターし、さきほど渡ったヤルカンド川まで行ってみる。ポプラ並木を走り抜け、豊かな農地を走り抜けたところにヤルカンド川は滔々と流れている。タリム川上流の河川の中でも一番の大河。世界第2の高峰、K2から流れ出る。
ヤルカンドの町側の検問所には軍人が銃を持って警備しているので、「ヤルカンド川大橋」(莎車河大橋)を渡り、対岸でタクシーを停めて堤防上を歩いた。これだけの川幅、これだけの水量の大河が最後はタクラマカン砂漠の砂の中に消えてしまう…。頭ではわかっていても、「何で、何で」と思ってしまう。なんとも不思議な気分でヤルカンド川の流れを眺めた。
ヤルカンドに戻ると、夜市を歩いた。我々は食堂前の歩道にテーブルを並べ、そこで夕食にする。みなさん、ヤルカンドの夜では気合が入り、ガンガンとビールを飲み干す。あっというまに空ビンがズラズラッと並んでいく。ホテルへの帰り道では足元がおぼつかなくって抱きかかえられるような人もいた。これがまたいいんだなあ。忘れられないヤルカンドの夜になった。
翌9月12日は7時30分、起床。シャワーを浴びると、まだ暗い町を歩く。8時過ぎに夜が明ける。ホテルに戻り、8時30分、朝食。
出発は9時30分。いつものように「目指せ、イスタンブール! エイエイオー!!」と、全員で気合を入れて走り出す。
この日は特別に気合が入る。中国西端の町、カシュガルに到着する日だからだ。カシュガルは中国内のゴール地点のようなところ。辛いときはみんなで「カシュガルを目指そう!」と、励ましあったところだ。そのカシュガルが近い。
タクラマカン砂漠西端の砂漠地帯を抜け、オアシスが連続するエリアに入っていく。刀づくりの村では手作業の工場を見学。水量の豊かな用水路が村の中を流れている。
カシュガルが近づくと交通量がぐっと増える。遠い昔には蔬勒(そろく)と呼ばれたカシュガルはまさに中央アジアの十字路。東西文化のぶつかりあうところでもある。オアシスの町、バザールの町カシュガルは急速に発展し、今では新疆でも有数の都市になっている。
我々はバイクを連ね、カシュガルの中心部に入っていく。イスラム教のエイティガール寺院前にバイクを並べ、カシュガル到着を喜び合った。
西安を出発してから16日目、4992キロを走ってのカシュガル到着だった。