韓国食べ歩き:第26回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
肉料理抜き!?の料亭料理
光州(クワンジュ)の料亭料理のとてつもない量の多さはさておき、それを食べてみて感じたのは、料理の中に占める肉料理の比重の低さであった。
30皿近い料理のうち、わずか1皿、焼肉がついただけで、印象としてはまったく肉料理抜きの食事なのである。光州で食べた韓式定食もそうだった。
これはどう考えたらいいのだろうか…。
魚介類の豊富な黄海や多島海に面した全羅南道(チョンラナムド)だからなのであろうか…。
ソウルで食べたプルコギやカルビの焼肉料理、ブタの臓物料理、さらには光州に着いて早々に食べたバラエティーに富んだ牛肉料理で感じたのは、この国にしっかりと根をおろしている肉食の伝統であった。
ところがこうして肉料理抜きの料亭料理や韓式定食を食べてみると、ほんとうにそうなのだろうかと、疑わざるをえない。
というよりもむしろこの国では、本来、それほど肉を食べていなかったのではないか。 そう考える方が自然に思えてくるのだった。