韓国食べ歩き:第21回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
野菜料理と牛肉料理
ソウルから光州(クワンジュ)に舞台を移して、さっそく私たちの食べ歩きがはじまった。列車内で昼食の弁当を食べていたので、軽い食事をしようと、中心街にとった宿の近くの食堂に入った。
食堂では木浦(モッポ)名産の梅酒が目に入り、それを1本、頼んだ。
梅酒を飲みながら、
「何か、食べるものを」
と、注文すると、まずはキムチが4種、出た。つづいて枝豆。その次に豚肉とサトイモの煮物が出た。煮物はトウガラシがきいていて、ピリリと辛い。それにつづいてモヤシとゼンマイ、ホウレンソウのナムルが盛り合わせになって出た。
野菜類をいったんゆでてから和えたり、炒めたりする料理を総称してスクチェ(熟菜)というが、日本の焼肉店でもおなじみのナムルはその代表格といったところだ。家庭では毎日の献立に必ず登場する。先の3種のほかにダイコンやキュウリ、ナスなどのナムルもある。
野菜料理のあとは牛肉料理だ。
最初にソゴギ(牛肉の佃煮)が出た。次にタンとレバーが生で出た。ともにコチュジャン(トウガラシ味噌)をつけて食べる。最後に刺身のユッフェが出た。
ユッフェは上質の赤身の生肉を刻んで味つけしたもので、モンゴル系の遊牧民タタール人が朝鮮半島にもたらしたものだという。