韓国食べ歩き:第27回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
日本と韓国の似ている点は…
朝鮮半島は、ユーラシア大陸の肉食・乳食文化圏に隣り合っている。
しかし韓国は、その食文化圏には含まれていない。それは市場を歩いてみれば、はっきりとわかることだ。
たしかに市場では、肉類は目についた。ところが、ミルクや乳製品のヨーグルト、バター、チーズのたぐいが私の記憶に残らないほど、目につかなかった。
乳製品は牧畜世界の基本食となるものである。それが韓国で一般化しなかったということは、牧畜世界から中途半端な形で肉食だけを受け取ったとしか、いいようがない。
それにひきかえ、韓式定食でも料亭料理でもそうなのだが、魚介料理がきわめて多い。魚介類をふんだんに使っている。また、魚の刺身も一般的だった。
もっとも刺身は韓国でも「サシミ」といっており、日本から伝わった料理のようだ。しかし、韓国、とくに南部では古くから魚肉を生で食べる習慣があったようだ。
日本と韓国は魚介類をよく食べるということでは、きわめて似ている。