賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(87)高知→徳島

(『ジパングツーリング』2002年6月号 所収)

 高知から国道55号で室戸岬へ。

 その途中、安芸市の食堂「矢流」で、土佐名物のドロメ(シラウオ)を食べた。ドロメの酢の物とドロメ汁のついたドロメ定食(1800円)だ。

 1999年の「日本一周」で食べ損なっているので、3年越しの願いをかなえたことになる。

 室戸岬からは四国の東海岸を北上。高知県から徳島県に入る。

 徳島県に入ってすぐのところにある竹ヶ島へ。短い橋で渡っていける島だ。ここは漁業の島。同じような漁業の島、高知県の柏島、中ノ島同様、竹ヶ島にはバイクで走れるような道はない。だがSMX50ともども島に入ったというだけで、それなりの満足感があるものだ。

 国道55号を北上。

 海南町から牟岐町にかけての海岸からは出羽島、津島、大島の3島を見る。そのうち出羽島は有人島だ。阿南市に入ったところで、阿波橘駅近くの答島港に急ぐ。そこから四国最東端の島、伊島に船が出ている。

「間に合った!」

 答島港到着は16時15分。伊島への船の最終便は16時30分だと聞いていた。

 ところが待合室前の岸壁には伊島行きの船は見えない…。

 港で作業している人に聞いてみると、最終便は15時30分に出たという。

「四国一周の最後は伊島だ!」

 と、気合を入れて答島港まで来ただけに、ガックリきた。

「よし、それならば」 

 と気持ちを切り替え、四国本土最東端の蒲生田岬に向かう。

 オープンしてまもない船瀬温泉「保養センター」(入浴料500円)の湯に入り、岬近くの民宿「あたらし屋」に泊まる。

 翌朝、夜明けの蒲生田岬の展望台に立った。

 雲ひとつない東の空が赤くなり、赤みを増し、やがて朝日が昇る。なんとも神々しい眺め。岬の沖に浮かぶ四国最東端の伊島も赤く染まっている。

 そんな蒲生田岬をあとにし、阿南から徳島へ。

 徳島港に到着し「四国編」を終えた。 全行程1874キロの「四国一周」。

「オーシャン東九フェリー」の東京港行き「おーしゃん うえすと」に、SMX50ともども乗り込むのだった。