賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「南米・アンデス縦断」(14)

 マチュピチュ遺跡からアグアカリエンテに下ると、ちょうどクスコ行きの列車が発車するところだった。列車が発車するまで見ていた。クスコまでは114キロ。4時間半、かかるという。

 それにしてもなつかしい。

 1984年から85年にかけての「南米一周」では、クスコから列車に乗ってマチュピチュにやってきた。そのときの列車でのシーンが鮮やかに蘇ってくる。

 南米ではほとんど英語が通用しないが、マチュピチュ行きの観光列車内は別だった。

 世界中からの観光客が乗っているので、英語のみならず、フランス語やドイツ語も聞こえてくる。

 車内ではアメリカ人とドイツ人の2人組と一緒の席になったが、

「ニホンゴ、ワカリマスカ?」

 と、アメリカ人の青年に聞かれた。

 ぼくが日本人であることを知っての、いかにもアメリカ人らしいジョークだ。

 ドイツ人2人組は、

「クレイジーなアメリカンがジャパニーズを話した!」

 といって、大喜びだ。

 アメリカ人青年の日本語はなかなかのもの。それもそのはずで、彼は父親の仕事の関係で大阪で生まれ、16歳になるまで関西で過ごしたという。

 あれから25年。アメリカ人青年やドイツ人の2人組は「今ごろ、どうしているのだろう…」と、クスコ行きが発車したあとのアグアカリエンテ駅でなつかしむのだった。

 我々はアグアカリエンテで連泊だ。

 宿の「インカイン」にいったん集合し、何人かで温泉に行く。入浴料は10ソル。日本円で約400円。温泉は混浴で水着を着用して入る。濁り湯で湯温は38度。長湯するのにはちょうどいい。温泉プール風の露天の湯船もある。湯から上がったときは、体内の毒素がスーーーっと抜け出たような気持ちよさを感じた。

 夕食は町のレストランで。トマトスープとチャーハンだ。

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クスコ行きの列車

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アグアカリエンテの温泉

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夕食のトマトスープ

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夕食のチャーハン

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ビールやワインを飲みながらの楽しい夕食!