賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(39)淡路島1(兵庫)

(『ジパングツーリング』2002年2月号 所収)

 2001年10月12日午前0時、東京・日本橋を出発。一路大阪へ。スズキSMX50に「頼むゾ、SMXよ!」と声をかけ、国道1号をひた走る。539キロを走って大阪・梅田新道に到着したのは18時38分。なんともうれしいことに、一緒にサハリンを走った「サハリン軍団」の常俊容子さんと高地洋子さんの“ダブルヨーコ”が出迎えてくれたのだ。

 大阪駅近くの居酒屋「がんこ」で、“ダブルヨーコ”との大宴会になった。おおいに飲んで語り合い、たらふく食べた。最高に楽しい大阪の夜になった。

 大阪では大阪駅に近いビジネスホテル「関西」に泊まった。隣合った食堂「味一」で納豆、のり、たまごつきの朝定食(500円)を食べ出発。通りががったカブに乗った人に「気いつけてな」と声をかけられたのが、すごくうれしいことだった。

 もう一度、梅田新道にSMX50ともども立つ。ここに大阪の道路原標がある。梅田新道が国道1号の終点であり、国道2号の起点になる。それだけでなく国道26号、163号、165号の起点であり、国道25号、176号の終点になっている。

 梅田新道から国道2号を行く。10月も中旬になるというのに、汗が出るほどの暑さ。北国からは雪の便りが伝わってくるというのに‥。日本は広い。ジャケットもインナーのフリースも脱いで、Tシャツ1枚で走った。

 淀川を渡り、大阪から兵庫に入る。尼崎、西宮、芦屋と通り神戸へ。神戸から淡路島へのフェリーの出る明石に向かう。明石に近づくと、明石海峡越しに淡路島が大きく見えてくる。明石海峡大橋も見えてくる。

 国道2号から国道28号に入り、明石港に到着。この国道28号は淡路島の幹線国道で、淡路島の東海岸を縦貫し、徳島まで通じているのだ。

 明石港から11時40分発の明石淡路フェリー「あさかぜ丸」(1295トン)に乗る。明石海峡大橋の下をくぐり抜け、25分で淡路島の岩屋港に到着。さー、淡路島の一周だ。港前の「フェリー食堂」で昼食を食べ、「岩屋温泉会館」(入浴料560円)の湯に入り、国道28号を南下。淡路島を時計回りに一周する。

 淡路島最大の町、洲本に近づくと、前回の最後になった友ヶ島と田倉崎がよく見えるようになる。SMXを停め堤防上でゴロンと横になる。潮風に吹かれながら10分間、眠った。最高の気持ちよさ。ツーリングの最中というのは、短時間で、どうしてこんなに気持ちよく眠れるのだろう。

 岩屋港から34キロの洲本に到着。洲本は蜂須賀氏6万石の城下町。まずは洲本城跡の「淡路文化資料館」(入館料400円)を見学。特別展の「古代製塩の島」では、淡路島での古代の塩づくりを展示していた。次に資料館の背後にそびえる三熊山の山頂にある天守閣まで行く。三熊山にはバイクで登れる。天守閣からは洲本の町並みを一望。目を南に向けると、山々が重なり合って連なっている。

 洲本からは海沿いの県道76号を南下。淡路島南部のこの一帯は山々が海まで迫り、そのままストンと落ちている。淡路島の最高峰、諭鶴羽山(608m)に登り、「灘黒岩水仙郷」近くの民宿「おれんじ荘」に泊まった。