賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(41)淡路島3(兵庫)

(『ジパングツーリング』2002年2月号 所収)

 県道31号をさらに北上し、北淡町に入る。ここは1995年1月の阪神淡路大震災で大きな被害を受けたところだ。町の中心にはいまだに空き地が多く、大地震の傷あとを見せている。淡路島は北部の北淡地方、中部の中淡地方、南部の南淡地方の3地域に分けられるが、そのうち北淡地方の被害が一番大きかった。

「北淡町震災記念公園」内にある「野島断層保存館」(500円)を見学する。長さ140メートルのドーム内に阪神・淡路大震災の際にできた野島断層を保存し展示している。国指定の天然記念物にもなっている野島断層は今や淡路島有数の観光スポットだが、ここは一見の価値がある。ドームで覆われているので断層が風化しないところがいい。巨大地震のすさまじいばかりのエネルギーを見せつけている。

「北淡町震災記念公園」では、売店でタコ団子(1パック300円)を買い、それをモニュメントの前で食べた。1パックには2串入っていて1串には3個の団子。なかなかうまいものだった。名物の「北淡タコ」を使った団子なのだ。こうして北淡町の震災記念公園をあとにし、出発点の岩屋港に向かっていく。

 災難は突然、やってくる。

 あともうひと息で「淡路島一周」終了というところで、あやうく“一斉”にひっかかるところだった。海側の車線なので大丈夫だろうとタカをくくっていた。それがいけなかった。SMX50はけっこうスピードの出るバイクで気持ちいい潮風に吹かれながら60キロ以上で走っていた。すると前方に車が1台、走行車線にはみ出して止まっていた。

「あぶないな!」

 と思わずブレーキをかけたところにレーダーが‥。警官とも目が合った。

「やばい、やられた‥」

 と一瞬観念したが、ブレーキをかけたおかげで間一髪、セーフ!

 その“一斉”では3台の車が捕まっていた。2台の車は県道わきの空き地に停められていたが、3台目に捕まった車はスペースがなく、車体の後部だけが走行車線にはみ出して停まっていたのだ。もし捕まった車が2台だけだったら、ぼくはそのまま走っていた。30何キロオーバーで捕まり、免停になるところだった‥。超ラッキー!!

 淡路島北端の江崎まで来ると、明石海峡対岸の明石の町並みがよく見えるようになる。北淡町から淡路町に入ると明石海峡をまたぐ明石海峡大橋が目の前だ。海沿いの道の駅「あわじ」でSMX50を停め、世界最長のつり橋の明石海峡大橋を眺めた。ここからの眺めが一番いい。

 岩屋港に到着すると、出港直前の明石フェリー「あさしお丸」に飛び乗り明石港へ。全行程255キロの「淡路島一周」。島一周の走行距離が100キロを超えると大きな島といえるが、さすが淡路島、200キロを超えた!