賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(80)弓削島(愛媛)

(『ジパングツーリング』2002年5月号 所収)

 愛媛県の生名島から、いったん広島県の因島に戻り、愛媛県の弓削島に渡る。

 因島の長崎港から弓削島の明神港までは人&バイクで550円。生名島への150円と比べると、3・6倍の料金になるが、所要時間は20分で生名島への5分と比べると、4倍になる。それを考えると、やはり安い料金だ。

 明神港を出発点にして弓削島を一周。生名島と同じように、時計回りで弓削島を一周する。因島との間の海には無数の漁船。タイ釣り船だという。

 島の北端では、道を間違え、ミカン園の中に迷い込んでしまった。

 ワンちゃん連れでミカンを収穫していた夫婦は、いきなりバイクでやってきたよそ者を見て、きっとびっくりしたことだろう。そんな夫婦に道を尋ねただけなのに、摘み取ったばかりのミカンをビニール袋いっぱいに入れてぼくに持たせてくれた。

 ご主人は10月に、四国八十八ヵ所めぐりをしてきたという。

「あちこちでお接待を受けましてね。これは接待返しですよ」

 と笑っていう。

 ありがたくいただき、さっそく食べたが、なんとも甘いミカンだった。

 弓削島の東側は急崖で人家もほとんどなくなる。弓削町の豊島と魚島村の高井神島、魚島を遠くに見る。このうち魚島村の高井神島と魚島の両島は、瀬戸内海の秘島だ。

 最後に弓削大橋で佐島に渡る。佐島を含めての「弓削島一周」は25キロ。

 弓削島をあとにすると、因島からは再度、尾道に戻った。尾道は瀬戸内海の一大拠点になっている。