韓国食べ歩き:第31回(最終回)
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
東アジアの食文化
さて、韓国の主食だが、日本と同じように「飯」といっていい。
飯は米などの穀物を穀粒のまま炊いた「粒食」形態の食べ物。日本でも飯を主食にし、「飯」と「食事」が同義語になっているほど。
我々、日本人にとって飯はあまりにもあたりまえのものになっている。だが、飯を主食にしている「飯圏」といってもいい食文化圏の「粒食圏」は、世界を見渡しても日本から朝鮮半島、中国、東南アジア、インド東部とつづくエリアでしかない。
私はここまで日本と韓国の違いに目を向けすぎたきらいはあるが、大枠でいえば、「粒食圏」という同じ食文化圏にある国同士なのである。
私は「東アジアの食文化」調査の一環として今回、神崎さんと韓国を食べ歩いたが、これからも、東アジアの国々、地域を食文化を通してみてみたいと思っている。
食文化といっても、目の前の料理だけに目を向ける狭い意味での食文化ではなく、食料を得るところから、調理、保存、食事の様式、それにともなう儀礼、そして生産の用具、加工の用具、調理の用具に至る道具類など、「食」を広範囲にとらえる食文化で、それを通してみることによって、東アジアをより広く、より深く知りたいと思っている。
私はこれからも、「東アジア」のさまざまな食べ物を自分自身の舌で味わい、自分自身の胃袋で「東アジア」を考えていきたいのである。
(了)