韓国食べ歩き:第23回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
夕食の韓定食
夕食は韓定食にした。
ご飯、味噌汁、キムチのほかに、イシモチ、アサリ、ダイコンの入ったチゲ(鍋)、青菜とワラビ、ズイキのナムル、煮魚、トウガラシをきかせたサトイモの煮物、タコとシュンギクの酢物、カボチャの天ぷら、スケトウダラの腹わたの塩辛と、全部で7品のおかずが出た。
韓定食にはご飯、汁、キムチのほかに、5品とか7品の料理がつくが、この形は韓国の日常食にきわめて近いものだ。
韓国では李朝時代以来の伝統で、奇数を重んじる習慣があるが、その影響が食生活にも色濃く現れている。
ご飯を主食とする日常の膳をパンサン(飯床)といっているが、汁とキムチを除くおかずの数をチョップというふたつきの皿数で数え、3チョップ・パンサン、5チョップ・パンサン、7チョップ・パンサン、9チョップ・パンサンと呼んでいる。
3チョップ・パンサンと5チョップ・パンサンは庶民階級の食事、7チョップ・パンサンと9チョップ・パンサンは上流階級の食事とされ、宮廷料理になると12チョップ・パンサンであったという。
食堂あたりで食べる韓定食は、庶民階級から上流階級にかけるあたりの日常食、つまりパンサンになるのであろうか。