韓国食べ歩き:第22回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
日本と韓国の違い
韓国では肉を煮る料理も発達しているし、干肉もよく食べられる。
焼肉、煮肉、干肉、生肉という肉料理のバリエーションの広さが、ユーラシア大陸の牧畜民の世界、言葉を替えれば、肉食文化圏と隣合った朝鮮半島の地理的条件を如実に物語っているように思えてならない。
それにひきかえ、朝鮮半島とは海で隔てられた日本では、馬刺などの例はあるが、生肉を食べる習慣は根づいていない。
焼肉にしたところで、焼肉料理店があちこちにできたのは近年のこと。家庭での焼肉料理も、そうめったにあるものではない。
もっとも、日本でも古くから肉を食べる習慣はあった。
しかし、それはヤマドリやイノシシ、クマなど、狩猟によって得られる鳥獣の肉であって、ウシやヒツジなどの家畜の肉ではなかった。
日本ではそのかわりに、焼魚、煮魚、干魚、生魚(刺身)と、魚料理が発達した。