賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

アフリカ縦断2013-2014(その6)

「アフリカ縦断ナイロビ→ケープタウン編」(6)

 12月19日は夜明けとともに起きた。天気は快晴。目の前のメルー山には、まったく雲がかかっていない。右手に見えるキリマンジャロにも雲はかかっていない。西の空には十六夜の大きな月が残っていた。

 7時、キャンプ場内のレストランで朝食。スイカパッションフルーツのミックス・ジュースを飲み、パンとイングリッシュ・オムレツ&ソーセージを食べ、8時に出発。メンバー全員で「目指せ、ケープタウン」を叫んで走り出す。

 DR-Z400Sを走らせてモシへ。キリマンジャロが大きく見えてくる。青空を背にしたキリマンジャロの雪はまぶしいほどに光り輝いている。60キロほど走ると、キリマンジャロ山麓の町、モシに到着。町中に入り、スーパーマーケットでの買い物。ここではほとんど必要なものは手に入る。カメラが壊れたといって日本製のデジカメを買うメンバーもいた。

 モシからはタンザニアの首都ダルエスサラームに通じる幹線国道を行く。大型トラックやバスなど交通量は多い。キリマンジャロの登山口、マラングーとの分岐を過ぎ、サメの町の食堂で昼食。「ワリ・ナ・ニャマ」を食べる。ワリはスワヒリ語でライス、ニャマは肉を意味する。肉汁つきのライスで、それにマラゲ(豆)とムチャチャ(青菜)がついている。

 サメ周辺の高原地帯ではサイザル麻が栽培されている。サイザル麻といえば、かつては船舶用や漁業用のロープの原料として欠かせないもので、タンザニアは世界的な産地だった。現在ではすっかり化学繊維に押されてしまっているが、一面のサイザル麻畑を見ると今でもそれなりの需要はあるようだ。

 このあたりからアフリカのシンボルのバオバブが見えてくる。国道沿いの大きなバオバブの木の下にバイクを止めて小休止。それを見て近くの村から子供たちが「ワーッ!」と歓声を上げて集まってくる。

 今日の宿泊地はルショット。平坦な高原地帯からウサンバラ山地の山道を登っていく。急カーブの連続する山道を登っていくと空気はひんやりとしてくる。途中の村では大露天市が開かれていた。野菜や果物のほかにカラフルな布が目を引いた。

 国道から30キロほど山道を登り、ルショットの町の到着。「ラウンホテル」のキャンプ場に泊まった。段々になったきれいな草地にテントを張る。ここではスイス人ライダーのカップルに出会った。2人はスイスから送った2台のBMWケニアのモンバサ港で引き取り、我々と似たようなコースでナミビアまで行くという。

 夕食はホテルのレストランで。スープとスパゲティー。日が暮れると満天の星空。天の川が夜空を横切って流れている。気温がグッと下がり、厚着をしてテント内のシュラフにもぐり込んだ。

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夜明けのメルー山

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キリマンジャロを見ながら走る

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モシの中心街

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一面のサイザル麻畑

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バオバブの木の下で

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ルショットのキャンプ場に泊まる