賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「南米・アンデス縦断」(36)

 12月22日6時、起床。まだ暗いアントファガスタの中心街を歩く。コロン広場の周辺には歴史的な建造物が建ち並んでいる。アントファガスタは北部チリ最大の都市。19世紀半ばの移住以来、この町は内陸部の硝石や銅、銀などの鉱物資源の積み出し港として栄えてきた。

 チリは南北に細長い国。それも中途半端な細長さではなく、世界でもほかに例を見ないほど細長い。南北の長さは4329キロもあるのに、東西の幅は200キロもない。

 今回、ボリビア国境からカラマを通ってアントファガスタまでやってきたが、その間の走行距離は420キロ。チリ全体で見るとアントファガスタの周辺は東西の幅が一番広いし、ルートも東西に横断というよりも、北東から南西に斜断するようなルートを走ったので400キロを超えた。

「ディエゴ・デ・アルマジロ・ホテル」に戻ると、ジュース、パン、ハム&チーズの朝食を食べ、8時出発。COPECのガソリンスタンドで給油し、パンアメリカンハイウェイの国道5号を南下する。前方には一望千里の大砂漠、アタカマ砂漠が広がっている。

 アタカマ砂漠は太平洋とアンデス山脈の間に延びる南北に細長い砂漠で、その長さは1000キロにも及ぶ。目に入るのは、はてしない砂の世界。一木一草もない、一獣一鳥の姿もない「死の世界」。その中にパンアメリカンハイウエーのひと筋の舗装路が延びている。

 真夏のアタカマ砂漠の暑さは強烈だ。熱風が吹き荒れている。気温は40度をはるかに超えている。相棒のスズキDR-Z400Sで切る風は、熱風をかきまぜるだけなので、すこしも涼しくならない。あまりの暑さに頭が朦朧としてくる。

 アントファガスタは南回帰線上の町。南に下ると亜熱帯圏から温帯圏に入っていくのだが、熱しやすくて冷めやすい砂漠の気候はじつに厳しい。

 そんなアタカマ砂漠の中に巨大な手のモニュメントがあった。国道5号を外れて砂漠を走り、「手のモニュメント」の前で写真を撮った。そのあと我々は思い思いにアタカマ砂漠を走るのだった。

 昼食は国道5号沿いのレストランで。砂漠の中にポツンとある。ここではシーフードスープとライス&チキンを食べた。

 この日はアントファガスタから417キロ走り、太平洋岸の町、チャニャラルの「ホステリア・チャニャラル」に泊まった。ここは砂漠と海の接する町。夕食のカレーライスを食べるとバイクの整備。DRの各部を点検し、オイル交換やチェーン調整をした。

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アントファガスタのCOPECで給油

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アタカマ砂漠の手のモニュメント

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アタカマ砂漠を走る

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昼食のシーフードスープ

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昼食のライス&チキン

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国道5号を行く