「南米・アンデス縦断」(18)
オリャンタイタンボの「ホテル・パカリタンプ」に戻ってきた。
まずはホテルの中庭に停めてあった相棒のスズキDR-Z400Sを見る。エンジンをかけてみる。大丈夫。まったく問題なし。安心したところで、快適なホテルのベッドでひと眠りした。
昼寝から目が覚めたところでオリャンタイタンボの町を歩く。路地裏にも入っていった。この町はウルバンバ川沿いの「聖なる谷」のほぼ中心に位置している。それもあってインカ時代は宿場町にもなっていたようだ。ちなみにオリャンタイタンボの「タンボ」は、ケチュア語で「旅籠」を意味するという。
夕食は町のレストランで。トロッとした風味のチューニョのスープとスパゲティーだ。 チューニョというのは「凍みジャガイモ」のこと。チュニョはアンデスの食文化を象徴している。
標高3000メートル前後のアンデス高地は一面のジャガイモ畑。ジャガイモを栽培している一帯が、アンデスでは一番、人口が多い。
アンデスの食堂で食事をすると、必ずといっていいほどジャガイモが出る。スープにもジャガイモが入っている。さすがにジャガイモの原産地アンデスだけあって、ここではジャガイモ抜きの食事は考えられない。
チューニョ入りのスープもごく一般的なものだ。
チューニョは日本でいえば凍豆腐のようなもの。ジャガイモを野天に広げ、夜間の寒さで凍らせ、昼間の天日で溶かす。それを繰り返し、ブヨブヨになったジャガイモを踏みつけて水分を抜き、乾燥させる。
一日の気温の差の大きいアンデス高地だからこそできる乾燥ジャガイモだ。保存食には最適で、使うときに水や湯で戻す。
ぼくはチューニョにアンデスの民の知恵を見る。
「ホテル・パカリタンプ」
オリャンタイタンボの路地裏を歩く
チューニョのスープ
夕食のスパゲティー