「南米・アンデス縦断」(4)
12月6日7時、「レアル・ホテル」の朝食。パン、バター、スクランブルエッグ、コーヒーの朝食を食べ、8時、出発。イカの町の郊外に広がるイカ砂丘に行く。ここで小休止。砂漠大好きの新保さんは愛車のホンダXR250バハを駆って砂丘を自由自在に走りまわる。新保さんとは一緒に「サハラ縦断」(2004年~2005年)を走ったが、そのときも何度となく砂丘を走りまわった。
ところで1984年~1985年の「南米一周4万3402キロ」では、コロンビアを出発点にして反時計まわりで南米を一周した。エクアドルからペルーに入ったときは驚かされた。国境を越えたとたんに乾燥した気候に変わったからだ。砂まじりの熱風が吹きつけ、街道沿いの風景からはみるみるうちに緑が消え、あっというまに砂漠になった。
これが国境のおもしろさといったところで、国境線という目に見えない1本の線を境にして、同じ太平洋側でもエクアドル側は濃い緑色の世界、ペルー側は不毛の砂色の世界に劇的に変わった。
それにしても、まさかペルーに入ってすぐに砂漠になるとは想像もしていなかった。このペルーの太平洋岸の砂漠は、そのままチリのアタカマ砂漠へとつづく。
ペルーの砂漠の風景は一様ではない。一面の砂の海だったり、深さ3、40センチの亀裂の入ったヒビ割れた土漠だったり、緑のまったくないゴツゴツした岩山地帯だったり。 きれいな砂丘があらわれてくると、その美しさに魅せられ、街道を外れ、砂丘の下までバイクを走らせた。エンジンを止めると、あたりはシーンと静まりかえっていた。
高さ100メートルほどの砂丘に砂を崩しながら登った。砂丘の頂上からの眺めは壮観。茫々と広がる大砂漠のなかに、蛇行し、うねるようにして黒々とした舗装路が延びている。足もとのバイクは豆粒ぐらいにしか見えない。砂丘の頂上からの下りは砂にまみれになって、ゴロンゴロンところがり落ちた。
アンデス山脈から流れ出る川の流域だけに緑が見られ、サトウキビなどの農地になっている。砂漠も水さえあれば、豊かな農地になることを証明しているかのような風景。川の下流地帯には町ができている。砂漠のオアシスといったところだ。幅数キロの緑色の世界。川の流域を離れると、また一木一草もない砂漠が延々とつづいた。
イカ砂丘を見ていると、そんな「南米一周」でのペルーの海岸地帯につづく砂漠の風景が思い出されてならなかった。
イカからは国道1号を南下。乾燥した風景がつづく。
岩山地帯を抜け出ると、「ナスカの地上絵」で有名なナスカ平原に入っていく。イカからナスカまでは160キロほどだ。
イカの町
イカを出発
国道1号で岩山地帯を走り抜けていく
ここは「ナスカの地上絵」で有名なナスカ平原
道祖神の菊地さんとガイドのヤマグチさん