「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(2)
常磐道で一気に東北に入るのではなく、いわき勿来ICのひとつ手前、関東側最後の北茨城ICで高速を降り、まずは大津漁港に行った。
そこはまるで大地震直後のような惨状。岸壁には大きな亀裂が何本も入っている。漁港の施設も壊滅状態。大津波というよりも大地震にやられたようだ。以前は無数の漁船で埋め尽くされ、活気にあふれていた大津漁港は閑散としていた。
大津漁港からは海岸線を走り、五浦岬に立った。岡倉天心ゆかりの六角堂は10メートルを超える大津波で流されたが、復興プロジェクトが急ピッチで進み、まもなく完成するという。
五浦温泉の「五浦観光ホテル」は営業していたが、日帰り湯「天心乃湯」は閉館したまま…。再建できるのかどうか。ここの湯には何度も入ったことがあり、食堂で「あんこう鍋」を食べたこともあるので、営業再開を願うばかりだ。
関東と東北を分ける鵜ノ子岬にやってきた。
岬をはさんで南の関東側が平潟漁港、北の東北側が勿来漁港になる。
関東側の平潟漁港はアンコウ漁でよく知られている。ここもかなりの被害を受けたが、大津漁港よりはるかに復興が進んでいるように見受けられた。岬の突端まで行くと、断崖の岩壁が激しく崩れ落ちている。それはM9・0という超巨大地震のすごさをうかがわせるものだった。
関東側の平潟漁港からいったん国道6号に出、茨城・福島の県境を越え、東北に入る。すぐに国道6号を右折し、鵜ノ子岬北側の勿来漁港へ。勿来漁港は茨城県側の大津漁港や平潟漁港ほどにはやられていない。それでも大津波に流されて破壊された漁船が何隻か見られた。
漁港の岸壁にV-ストロームを停めると、ヤマハのセローに乗った渡辺哲さんがやってきた。渡辺さんのセローはすでに13万3000キロ。渡辺さんもセローもツワモノだ。
渡辺さんの実家は楢葉町。爆発事故を起こした東京電力福島第1原発の20キロ圏内ということで、いまだ自宅には戻れない。すでに大津波から1年もたっているというのに…。そんな大変な思いをしているのだが、ライダー特有の明るさとでもいおうか、渡辺さんと話しているとかえって元気をもらってしまうほどなのだ。
渡辺さんは今日一日、同行してくれるという。
さー、鵜ノ子岬を出発だ。下北半島突端の尻屋崎を目指して行くぞー!
北茨城の大津漁港
漁港の岸壁は陥没している
大津波から1年後の大津漁港
天心ゆかりの六角堂
勿来漁港に到着
勿来漁港での渡辺哲さんとの出会い