賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「旧満州走破行2004」(79)

10月16日(土)晴 ハルビン→大連(その4) 第27日目

 大連はマイクロバスでまわった。王さんという日本語の上手な女性ガイドが同行してくれている。中心街を観光したあとは大連の名所、老虎灘(老虎海岸)へ。老虎が海岸にうずくまって海水を飲んでいるように見える巨岩があることから「老虎灘」の名前がついたという。

 ここは新婚旅行のメッカ。次々と新婚さんがやってくる。その中心は北大橋。橋の上を歩く2人の姿をビデオ撮影するのが流行のようだ。老虎灘の一帯は「老虎灘公園」になっているが、その一角には6頭の虎のモニュメントがある。

「麗星大飯店」という老虎灘を見下ろすホテルに泊まり、「天天漁港」という海鮮料理店で夕食。豪華な海鮮料理の数々を食べたあと、その前の「○(混の食偏。以下同様)飩屋」に入る。日本の「饂飩(うどん)屋」を連想させる「○飩屋」だが、この店で出てくるのはウドンではなくワンタンだ。

 ウドンとワンタンの関係はじつに興味深い。日本では漢字で書くと共に饂飩になる。しかし、その昔は「○飩」と書いた。つまりは饂飩は中国のどこにでもある「○飩屋」の「○飩」のことなのである。

 日本にウドンが伝わったのは奈良時代から平安時代のことだいわれているが、それはじつはウドンではなくワンタンだった。

 日本人はウドンとワンタンを取り違えてしまい、ウドンは千何百年もの間、名前と中身の違うまま現在に至っている。

「○飩」の北京語発音は「フォントン」、上海語発音は「ユントン」、広東語発音は「ワンタン」になる。

 中国では「○飩屋」に入ってもウドンは食べられない。出てくるのはワンタンだ。「雲呑屋」の看板を掲げた店もあるが、そこでもやはり出てくるのは「わんたん」。繰り返しになるが、「○飩」というのはワンタンのことである。

 ところで「○飩」は中国南部のもので、それに対して「餃子」は中国北部のものになる。「○飩」と「餃子」は似ているが、その皮は「○飩」が四角で「餃子」は円形。「○飩」は汁ごと食べるが、「餃子」は汁なしで食べる。粉食圏の中国の食文化はおもしろい。

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大連の名所、老虎灘

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老虎灘は新婚旅行人気のスポット

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老虎灘の北大橋には次々に新婚さんがやってくる

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新婚さんのビデオ撮影

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6頭の虎のモニュメント

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老虎灘の船着場

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老虎灘のナイトクラブ

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海鮮料理の「天天漁港」で夕食

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この店でワンタンを食べる