「旧満州走破行2004」(40)
10月4日(月)晴 ハイラル(その2) 第14日目
早朝のハイラルの町歩きを終え、「貝爾大飯店」に戻ると朝食を食べ、9時出発。
スズキQS110を走らせ、ハイラル周辺の蒙古族の牧畜民を訪ねる。国境の満州里に通じる幹線道路を右折し、一面に広がる大草原を走る。道の両側には4日前に降ったという雪がわずかに残っていた。
羊の群れを見るようになる。その先ある牧畜民のパオ(テント)を訪ねた。
「サンバイノ(こんいちは)」
と蒙古語であいさつすると、みなさんはニコリと笑って歓迎してくれた。蒙古族は漢族よりもはるかに日本人に近い。
パオの入口にはピカピカのバイクを置いている。バイクは牧畜民たちの重要な足。パオの中を見せてもらった。中央にはストーブがある。燃料は干した牛糞。その両側にベッドがおかれている。
別のパオでは羊の乳からチーズをつくっている。乳製品は肉と並ぶ主食。羊や山羊、牛、馬、ラクダなどからしぼった乳でさまざまな乳製品をつくっている。
馬乳酒を出してくれたが、これは馬の乳を発酵させたもの。乳酸飲料といったもので弱い酒。それを蒸留した強い酒もある。馬乳酒と一緒に出してくれたのは酒粕を固めたもので、硬いのをカリカリかじる。チーズのような風味だ。
蒙古族のチーズは多様。豆腐そっくりのチーズもある。ストーブの大鍋で加熱した生乳からはクリームチーズやバターオイルをつくる。脱脂乳は茶と塩を混ぜた乳茶にして飲む。乳酸菌発酵させた乳を撹拌してつくるヨーグルトもよく食べる。ヨーグルトは彼らの健康の源になっているという。
このように蒙古族の牧畜民たちは生乳を加熱・撹拌したり、乳酸菌発酵させたり、アルコール発酵させたりして様々な乳製品をつくり出している。それは世界でも最高度に発達した「乳食文化」といっていい。
「貝爾大飯店」を出発
ハイラル近郊の大草原地帯を行く
羊の群れを見る
大草原のパオを訪ねる
バイクは牧畜民の大事な足
蒙古族の若い女性たち
パオの中を見せてもらう
羊の乳からチーズをつくる