賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「伝説の賀曽利隆オンライン」(34)

(2002年8月16日)

 6月28日に富山県の伏木港からロシア船の「ルーシ号」に乗って出発した「ユーラシア大陸横断」ですが、ロシア極東のウラジオストックからヨーロッパ最西端のロカ岬までの1万5000キロを走って8月15日に帰ってきました。

「ユーラシア横断」ルートの中でも一番のハイライトは「シベリア横断」でした。

 ウラジオストックを出発したのは7月1日。ハバロフスクイルクーツクノボシビルスクと通り、7月22日に西シベリアのチェラビンスクからウラル山脈の峠を越え、アジア側からヨーロッパ側に入りました。

 欧亜を分ける分水嶺の峠には、大きな碑が立っていました。ヨーロッパ側に向かっては、ここより「ヨーロッパ」、アジア側に向かっては、ここより「アジア」と書かれた峠の碑です。ウラル山脈の峠までは、ウラジオストックから7000キロ余の距離でした。

「シベリア」はぼくの今までのツーリングの足跡を印した世界地図からはスッポリと抜けた空白の地帯だったので、そこに1本の長い赤線を書き込むことができてすごくうれしい気分です。

「シベリア横断」の毎日では、ひんぱんに地図を見ていましたので、ウラル山脈以東のロシアがしっかりと自分の頭にインプットされました。それにしても道なき世界で、自動車は限られたものでしかありません。

 シベリアにはオホーツク海に流れ出るアムール川北極海に流れ出るレナ川、エニセイ川、オビ川という4大河川があります。この川を使えば、広範囲なシベリアを見てまわることも可能です。

 シベリアをバイクで横断したことによって、

「今度はシベリア大河紀行をやってみたい!」

 という気持ちにかられました。

ユーラシア大陸横断」のバイクはスズキDR-Z400Sでしたが、1万5000キロを完璧に走りきってくれました。ウラジオストックからロカ岬まで新車の状態のまま、つまりタイヤ、チェーンなどの消耗品を含め、一切のパーツ交換をしないで(唯一、オイルフィルターを2度、交換しました)走りきってくれたのです。これはすごいことだと思っています。やはり大陸横断には最適のバイクでした。

 ありがとうDR400よ!