賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「伝説の賀曽利隆オンライン」(24)

(2001年9月10日)

 今日、これから「島編・日本一周」の「本州西部編」に出発します。台風15号が接近していますが、「台風が何だ!」といった気分。暴風雨の中を走るのは嫌いではありません。東京・日本橋を出発点にして西へ、関東、東海、近畿の島々をめぐりながら、まずは大阪を目指します。

「伊豆諸島・小笠原諸島編」からスタートさせた「島編・日本一周」ですが、「本州東部編」、「北海道編」と、前半戦の東京以北(以東)を終えました。これからは「本州西部編」にひきつづいて「四国編」、「九州編」、「沖縄編」と、後半戦の東京以南(以西)になります。最後に番外編で「台湾一周」を考えています。

 前半戦は島の数が限られていたので、比較的まわりやすかったといえるでしょう。ところが後半戦は島の数が桁違いに多くなるので、どのようにしてまわったらいいのか、正直なところ頭をかかえています。どのくらいの日数がかかるのかも、つかみかねています。島の数に関していえば、日本は圧倒的に「西高東低」になっています。

 なお、この「島編・日本一周」は『ジパングツーリング』と『バックオフ』で同時進行の連載をしています。『ジパングツーリング』の「島巡り日本一周」と『バックオフ』の「島ダート走破行』をぜひともご覧下さい。

 ところで先月は東京・目黒の旅行社「道祖神」主催のバイクツアー、「カソリと走ろうシリーズ」の第6弾で、長年の夢だったオーストラリア西部の砂漠地帯を貫く世界最長ダートの「キャニングストックルート」を走ってきました。

 来年夏の「カソリと走ろうシリーズ」第7弾目は「ユーラシア大陸横断」。富山港に集合し、ロシアのウラジオストックに渡り、中国領内を通ってシベリアを横断し、モスクワへ。そこから東欧、西欧経由でユーラシア大陸最西端のロカ岬まで走ります。全行程1万5000キロ、60日間の史上空前のバイクツアー。

 近日中に「道祖神」から詳細が発表されますので、どうぞご期待下さい。ぼくはロカ岬からは別ルートで再度、ユーラシア大陸を横断し、日本に帰ってくる予定でいます。

(2001年9月25日)

 つい何日か前までは「暑い、暑い!」といっていたのがウソのような急激な気温の下がりかたです。確実に季節が変わっていますね。

「島編・日本一周」の「本州西部編」ですが、「東京→大阪」(太平洋の島)、「大阪→下関」(瀬戸内海の島)、「下関→東京」(日本海の島)と3パートに分けることにし、そのうちの「東京→大阪」編を終えて帰ってきました。

 東京・日本橋を出発した9月10日は台風15号の接近で大荒れの天気。それにもかかわらず、見送りに来てくれたみなさんには感謝感激です。

 第1島目は横須賀の猿島になるはずでしたが、船は欠航で、渡れませんでした。そのため、三崎から城ヶ島大橋で渡った城ヶ島が第1島目になりました。橋上の強風は猛烈で、50㏄バイクのスズキSMX50ごと吹き飛ばされそうになりました。城ヶ島の南海岸の岩場には高さが10メートルを超えるような大波が押し寄せ、見ていて怖くなるほどでした。

 そのあと相模湾江ノ島に行ったのですが、店はシャッターを下ろし、人通りもほとんどなく、いつもの見慣れた江ノ島とはずいぶんと違う様相でした。その夜は相模湾岸に近い伊勢原市の我が家に戻り、台風をやり過ごしたのです。翌9月11日の9時30分ごろ、江ノ島近くの相模湾岸に台風15号は上陸しました。

 今回の「東京→大阪」では三河湾の3島、佐久島日間賀島篠島をめぐり、伊勢湾出口の鳥羽に近い3島、坂手島、菅島、答志島をめぐり、本州南端の串本の対岸の大島をめぐりましたが、これらの島々に渡ることによってぼくはまた新たな日本を見ることができました。「日本は広い!」と、あらためて実感しています。

 今までは、バイクで豊橋から蒲郡、半田と三河湾岸を走っても、これら3島の存在というのはまったくぼくの目には入っていませんでした。佐久島への船が出る一色港や日間賀島篠島への船が出る師崎港なども、これらの島々に渡ると、存在感をもって自分の心にしっかりと残るのです。鳥羽に近い3島と、それらの島々に船の出る鳥羽港も同様です。こうして小さな島をめぐることによって、日本の国がどんどん広がっていきます。

「本州西部編」の「大阪→下関」と「下関→東京」は10月に走ります。そのうちの瀬戸内海の島々をめぐる「大阪→下関」は島の数が桁外れに多いので大変ですが、毎日、地図とにらめっこでまわり方を考えようと思っています。それがまた大きな楽しみなのです。