賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「伝説の賀曽利隆オンライン」(23)

(2001年8月18日)

 オーストラリア西部の世界最長ダート、「キャニングストックルート」を走って帰ってきました。砂丘越えの連続でしたが、異様なまでに赤い、あの砂丘の“赤”が目にこびりついて離れません。1973年にバイクで「オーストラリア一周」して以来、ずっと憧れてきた「キャニングストックルート」を28年目にして、ついに走ってきました。

 ひとつ残念だったのは、出発点のウイルナから1000キロ北のカラワジから先は、大雨の影響で四国ぐらいの大きさの湖となり、ビルルーナまでの全線を走破できなかったことです。

 で、どうしたかというと、カラワジからは「キドソントラック」という600キロのダートコースに入り、国道1号に出ました。ウイルナから国道1号までは「キャニングストックルート→キドソントラック」と1626キロの連続ダート。国道1号のアスファルトに立ったときは、思わず感動してしまい、胸がジーンとしたほどです。

 インド洋の白砂の海岸でキャンプしたのですが、海の青さが目にしみました。そのあとダート600キロの「ギブリバーロード」経由でゴールのクヌヌラに到着。「ウイルナ→クヌヌラ」は、2924キロ。その間のダートは2218キロとなり、ダート率はなんと75パーセントという高率のものでした。

「ウイルナ→クヌヌラ」は11泊12日で走破しましたが、その間はずべてブッシュキャンプ。毎夜、火をたき、火のまわりでの宴会となりました。11夜連続の焚き火というのは、ぼくにとっては初めての体験。“焚き火・命”のカソリにとってはたまらない日々でした。

 ウイルナを出発してから4日目には、砂道の轍にハンドルをとられ痛恨の転倒。これが今回の唯一の転倒ということになりました。

 カラワジにはガソリンスタンドやストアできていました。ここでガソリンを給油し、食料を補給できるということは、自分一人でも「キャニングストックルート」を走破できる可能性があるということです。

 地図上で計算するとカラワジからビルルーナまでは623キロ。「キャニングストックルート」の全線を走れなかった悔しさもあって、「よーし、今度は単独でキャンニングを走破してやろう!」と、「デザートマップ(砂漠地図)」を広げてさっそく次のプランを練るカソリなのです。