賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

伝説の「賀曽利隆オンライン」(13)

(2000年10月10日号)

 すっかり秋らしくなってきました。

「韓国一周・3150キロ」では、韓国本土の最東西南北端に立ちましたが、その中でもとくに印象深かったのが最南端と最北端です。

 最南端は全羅南道の海南(ハエナム)の町から65キロ南の土末(トーマル)で、道が尽きたところがフェリー乗り場になっています。そこからさらに南の多島海の島々へとつながっていました。

「土末」の地名が、いかにもユーラシア大陸、ここに尽きるという感じを出していました。

 その地点はスズキDJEBEL250GPSバージョンのGPSでは、北緯34度17分41秒と表示されました。下関駅から直線距離で407キロです。

「近くて遠い国」の韓国ですが、今回の「韓国一周」では日本と韓国の決定的な違いをひとつ発見しました。

 日本人は(とくに我らラーダーは)ものすごく岬にこだわるのに、韓国人はほとんど岬に興味を示さないことです。というよりも無関心といったほうがいいでしょうか。

 それを証明するかのように、この韓国本土最南端の土末の岬は名無し岬なのです。

 というよりも、日本の岬に相当する韓国語はないのです。

 地図を見ても、朝鮮半島の周囲には無数の岬がありますが、どこにも岬名は出ていません。中国も岬のない国ですが、中国文化の影響が強い韓国なので、岬がないのはやはりその影響かと思われます。

 韓国本土最北端は北緯38度線をはるかに越えた日本海側の統一展望台。真下が軍事境界線になっています。そこからは北朝鮮が間近に見られます。また、この展望台からは韓国人憧れの金剛山もよく見えます。金剛山までの距離はわずか16キロとのことでした。

 こうして最果ての地に立つと、その国がよく見えるものです。

 この「韓国一周・3150キロ」は月刊『旅』12月号(11月10日発売)の「韓国大特集」で掲載されますが、そのあと、JTBから単行本となって出ます。みなさん、どうぞご期待下さい。