「青春18きっぷ2010」(41)
第5日目(函館→新潟・その8)
酒田からは17時22分発の新津行に乗る。2両編成のディーゼルカー。
酒田駅を出ると、東酒田、砂越と通り、最上川を渡る。車窓から最上川の暗い川面を見た。羽越本線は酒田からはそのまま日本海側を南下するのではなく、庄内平野を迂回するようなルートになっている。
余目駅で陸羽西線と分岐。鶴岡駅ではゴソッと高校生たちが乗り込み満員になった。羽前大山駅、羽前水沢駅、三瀬駅と、停車するごとに高校生たちは降りていく。
三瀬駅を過ぎると暗い日本海が車窓に見えてくる。列車は国道7号と平行して走っているが、このあたりは山が海に迫り、羽越本線はトンネルを連続してくぐり抜けていく。
あつみ温泉への入口のあつみ温泉駅を通り、18時30分、山形県内最後の鼠ヶ関(ねずがせき)駅に到着。ここは東北最後の駅でもある。
鼠ヶ関駅の周辺は山形県の鼠ヶ関(鶴岡市)だが、市街地は途切れることなく新潟県の伊呉野(村上市)へとつづいている。国道7号だと山形・新潟の県境はわかりやすいが、市街地がつづく旧道だと、なかなかわかりにくい。そこが羽越本線の路線名にもなっている出羽と越後境の「羽越国境」だ。
鼠ヶ関といえば勿来関、白河関と並ぶ古代「奥羽三関」のひとつとしてよく知られている。鼠ヶ関址は鼠ヶ関駅よりも南、国道7号の山形・新潟県境のあたりになるという。
それよりも北に1キロほどの国道7号沿いには、「念珠関(ねずがせき)址」の石碑が建っている。それは慶長年間(1596年~1615年)から明治5年までの「念珠関」の址。このように鼠ヶ関には古代の鼠ヶ関と近世の念珠関、2つの関所跡がある。
鼠ヶ関は魚のうまい町。夏だと岩ガキが食べられる。
昨年の「東北一周」では、国道7号沿いの鮮魚料理店「番屋」で岩ガキと焼き魚(メバル)定食を食べたので、「念珠関址」の写真とともに見てもらおう。
羽越本線に乗ったら、ふらりと鼠ヶ関駅で下車するのはすごくいい。
「念珠関址」に立ち、「念珠の松」を見、鼠ヶ関漁港を見、歩いて渡れる弁天島をぐるりと一周するのだ。弁天島の入口には厳島神社がまつられているが、門前の店で食べた一夜干しの焼きイカはうまかった!
酒田からは鼠ヶ関止まりの列車が1日に何本か、出ている。そのほか村上行も出ている。鼠ヶ関は羽越本線の鈍行でもけっこう行きやすい。
さて、新津行の列車は鼠ヶ関を出ると、山形県から新潟県に入り、日本海の海岸線を南下する。勝木(がつき)駅を過ぎ、越後寒川(えちごかんがわ)駅を過ぎると、日本海有数の海岸美を誇る「笹川流れ」に入っていく。北半分を「下海府」、南半分を「上海府」という笹川流れは三面川の河口で尽きるが、残念ながら車窓からは時折、暗い海が見えるだけだった。
三面川を渡ると村上だ。
米坂線が分岐する坂町駅、白新線が分岐する新発田駅と通り、20時54分、終点の新津駅に到着。これで羽越本線の全線完乗だ。
酒田に到着
夜の酒田駅
酒田駅の駅舎
酒田駅で「月見うどん」の夕食
酒田駅の改札口
新津行に乗車
新津行の運転席
車内はボックスシート
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(※以下4点の写真は2010年8月の撮影)
「念珠関址」の石碑
鼠ヶ関の鮮魚料理店「番屋」
岩ガキ
焼き魚定食
(※以上)
◇◇◇
新津駅に到着