賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「青春18きっぷ2010」(37)

第5日目(函館→新潟・その4)

 鰺ヶ沢駅に戻ると、10時12分発の五能線の快速「リゾートしらがみ2号」秋田行の指定券(310円)を買う。この列車は全席指定だ。

 鰺ヶ沢駅のホームに立ったときは、どんな列車なのだろうという期待感で、胸がときめいた。

「リゾートしらがみ2号」は定刻通りに鰺ヶ沢駅に到着。4両編成の観光列車で、この列車の愛称は「青池」。十二湖の神秘の湖、青池にちなんだ名称。ブルーを基調にしたきれいな新型車両で、先頭はアイボリー。すごく洒落ている。

 2人掛の座席の窓側に座る。座席を回転させれば、4人用のボックスシートにもなる。スペースをたっぷりとっているので、じつにゆったり座れる。いたれりつくせりの観光列車だ。

 観光客の少ない季節なので、車内はガラガラ。それでも車内販売がやってくる。ホットコーヒー(300円)を飲みながら、車窓を流れていく日本海を眺める。ちょっとリッチな気分。それを「青春18きっぷ」で味わえるのだ。

 青森県内の日本海では一番の名所、千畳敷では、車窓の風景を見やすいようにと、列車はガクンとスピードを落とした。車内放送では千畳敷の説明をしてくれる。まるで観光バスのガイドさんの説明を聞いているかのようだ。

 10時57分、深浦着。江戸時代には北前船の寄港地として栄えた深浦だが、ここでは青森行の「リゾートしらかみ1号」とすれ違う。この列車の愛称は「くまげら」だ。

 深浦を過ぎたところで、車内販売の駅弁を買った。

「帆立釜めし」(900円)。

 青森駅の名物駅弁で、醤油飯の上に陸奥湾産の味付きホタテがたっぷりとのっている。そのほか根曲竹の竹の子、山くらげ、プチプチした食感のトビコ、コリコリした歯ざわりの山くらげ、錦糸卵がのっている。色鮮やかな駅弁だ。

 車窓の風景を見ながら駅弁を食べている間に、黄金崎不老ふ死温泉やみちのく温泉のすぐ近くを通り過ぎ、ウェスパ椿山駅に停車した。ここには温泉施設の「ウェスパ椿山」がある。

 旧岩崎村(現深浦町)の陸奥岩崎駅は通過し、十二湖への入口の十二湖駅には停車する。さすが観光列車だけのことはある。

 なお「十三湖」は岩木川河口のひとつの大きな湖だが、「十二湖」は大小33の湖沼群の総称。その中には白い岩肌をむき出しにした日本キャニオンもある。

 十二湖駅を過ぎると、日本海の海岸線に沿って走り、青森・秋田県境の須郷岬に向かっていく。国道101号が五能線に沿って走っている。

 さー、列車での「岬めぐり」だ。

 五能線のハイライトシーンといってもいい須郷岬は、白神山地がまさに日本海に落ち込む地点。日本海に落ちる断崖絶壁、海に散らばる岩礁群が車窓から見える。北へと延びる長い海岸線もよく見える。

 五能線から見る須郷岬は(車窓から見る岬の中では)日本一の絶景岬といっていい。

「リゾートしらがみ2号」はそんな絶景岬の須郷岬を通り過ぎ、青森県から秋田県に入っていった。

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鰺ヶ沢

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リゾートしらかみ2号」がやって来た!

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リゾートしらかみ2号」の愛称は「青池」

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ゆったりとした座席。座り心地も満点!

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日本海を眺める

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ここは千畳敷

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五能線に沿って走る国道101号

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深浦駅では「リゾートしらかみ1号」とすれ違う

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青森名物の駅弁「帆立釜めし」

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青森・秋田県境の須郷岬へ