「青春18きっぷ2010」(19)
長万部は北海道鉄道網の拠点。ここで函館本線と室蘭本線が分かれる。
函館から乗ってきた函館本線だが、長万部からはニセコ、倶知安、余市、小樽と通り札幌へ。札幌からは岩見沢、滝川と通り旭川へ。旭川が函館本線の終点になる。
北海道で最重要路線の函館本線だが、「長万部→小樽」間は本線とは名ばかりの超ローカル線。その間の列車の本数は極めて少なく、特急列車は1本も走っていない。函館発の特急列車はすべて室蘭本線経由で札幌まで行く。
函館発6時00分の列車で長万部に到着したのは9時30分。次の函館本線経由の小樽行は12時11分。長万部から普通列車は3時間に1本ぐらいしか出ていない。その12時11分発に乗ると小樽到着は15時29分だ。
長万部ではたっぷり時間があるので、駅待合室でカンコーヒーを飲みながら時刻表を見る。時刻表のページをめくり、長万部から室蘭本線経由で小樽まで行くルートを見てみると、もっと悲惨な状況なのがわかる。
次の室蘭本線の東室蘭行は13時18分発。長万部で4時間近くも待たなくてはならない。そのあとさらに苫小牧、札幌で乗り換え、小樽到着は18時46分になる。
室蘭本線も鈍行の普通列車だけに限ってみると、「長万部→東室蘭」間は函館本線の「長万部→小樽」間以上の超ローカル線ということがわかる。
「さー、行くぞ!」
と気合を入れて長万部駅を出る。すると「ヒェー!」と思わず声が出る。横なぐりの雪が吹きつけてくる。
ズボズボ足をもぐらせて雪道を歩き、人道用の跨線橋で長万部温泉へ。その上から見下ろす雪の長万部駅の眺めは目に残った。
数軒の温泉旅館が並ぶ長万部温泉では「長万部温泉ホテル」(入浴料420円)の湯に入る。ここは宿の温泉であるのと同時に、温泉銭湯風にもなっている。
熱湯と温湯、2つの湯船。大浴場には打たせ湯もある。湯につかった瞬間、生き返るようだった。
淡黄色でほぼ透明、無臭の湯は塩味がする。源泉の湯温は49・6度。
入浴客はぼく1人。貸切湯状態で、大浴場の湯船を独占。う~ん、たまらん!
脱衣所には「温泉豆知識」が貼られている。それには次のように温泉が分類されている。
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【浸透圧による温泉の分類】
生物細胞の物質代謝は細胞膜内外の塩類濃度差から生じる浸透圧の大小が大きく関与しています。
(温泉名)
高張性泉…人体の細胞液より高い浸透圧を持つ温泉
等張性泉…人体の細胞液と等しい浸透圧を持つ温泉
低張性泉…人体の細胞液よりも低い浸透圧を持つ温泉
【液性による温泉の分類】
(温泉名) (水素イオン濃度)
アルカリ性泉……PH8.5以上
弱アルカリ性泉…PH7.5~PH8.5(人体への刺激が少なく皮膚にやさしい)
酸性泉……………PH5.0未満
【泉温による温泉の分類】
(温泉名) (泉温)
高温泉……42度以上
温泉………34度~42度
低温泉……25度~34度
冷鉱泉……25度未満
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ということで、PH7.95、源泉の湯温49.5度の長万部温泉は、高張性弱アルカリ性の高温泉(塩化物泉)ということになる。湯上りのあといつまでも体がポカポカするのはそのためだという。そうなのか。
いやー、列車を待つ間の長万部温泉では、じつにいい勉強をさせてもらいました!
長万部駅前
駅前の案内図。これを見て歩き出す
雪の駅前通り
長万部の町並み
長万部温泉の温泉街
「長万部温泉発祥之地」碑
「長万部温泉ホテル」
「長万部温泉ホテル」の大浴場