賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「青春18きっぷ2010」(8)

第2日目(東京→函館・その3)

 郡山着は9時01分。郡山発は9時27分。この間の20分強は重要だ。30分あればいったん改札口を出るのだが、30分以内なので駅構内をプラプラ歩く。

 郡山で分岐する磐越西線磐越東線水郡線のホームを見、新幹線口の改札口を見る。そして駅弁売場で「栗山菜弁当」(800円)、キオスクで地元紙の「福島民報」(100円)を買って福島行に乗り込んだ。駅弁と郷土色豊かな地元紙は列車旅の大きな楽しみといえる。

 9時27分発の福島行は4両編成。全車両がロングシート。最後尾の車両に座り、ガラガラ状態の車内でさっそく「栗山菜弁当」を食べる。食べ終わると、お茶を飲みながら「福島民報」を読んだ。

 郡山を出発。本宮を過ぎると安達太良山が見えてくる。本宮と二本松の間ぐらいが一番よく見える。山頂周辺は雪化粧している。

 福島に近ずくと今度は吾妻連峰が見えてくる。安達太良山の山塊と吾妻連峰の間は大きく落ち込んでいるが、そのあたりが国道115号の土湯峠になる。

 福島到着は10時14分。福島出発は11時00分。

 ここでは46分あるので改札口を出る。まずはメインの東口へ。正面には信夫山が見える。信夫山の展望台からは福島の市街地が一望だ。

 東口には「奥の細道像」。芭蕉曽良が並び立っている。

 福島市民は「奥の細道」ではちょっと悔しがっている。

 芭蕉は福島に到着すると、旧知の押尾氏宅を訪ねた。だが押尾氏は江戸に出かけて留守だった。そこで妻と母親に一目会ったあと、奥州街道・福島宿の旅籠に泊まり、飯坂温泉へと向かっていった。

 もし押尾氏と会えていたら、きっと押尾氏宅で何泊かしたはずだ。そうすると、福島では後世に残る句を詠んだかもしれないし、福島は「奥の細道」の重要なポイントになっていたかもしれない。ところが押尾氏がいなかったばかりに福島を素通りした。

 それが福島市民にとっては残念なことなのである。

 このような歴史上の、

「もし、何々だったら…」

 を考えるのは旅の大きな楽しみ。ぼくはそれが大好きなのだ。

 福島駅東口を歩き、阿武隈急行福島交通飯坂線の乗場まで行ってみる。そこでは飯坂温泉の匂いをかぐのだった。時間があれば飯坂温泉共同浴場めぐりをしたいところだが…。

 次に西口へ。

 新しく開けた西口はゆったり広々。こうして大きな駅の東西口、もしくは南北口を見比べてみるのもおもしろいものだ。

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郡山駅。福島行に乗る

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郡山駅構内の何本もの線路

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郡山駅の駅弁

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福島の地方紙「福島民報

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安達太良山がよく見える

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福島駅

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福島駅東口の「奥の細道」像

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阿武隈急行福島交通飯坂線の乗場

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福島駅西口