賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(83)中島(愛媛県)

(『ジパングツーリング』2002年6月号 所収)

 興居島の泊港から松山の高浜港に戻ると、その4キロほど南の三津浜港へ。松山には北から順にいうと松山観光港、高浜港、三津浜港と、フェリーの出ている3つの港がある。

 忽那諸島の中島には、そのうちの三津浜港から渡るのだ。忽那諸島には全部で30余りの島々があるが、中島は主島になっている。

 三津浜港には、2年前の「日本一周」(1999年)で出会った山地真一さんが見送りに来てくれた。

 じつは前夜、北条では「北条水軍ユースホステル」に泊まったのだが、

「カソリさんが来ている!」

 という情報をキャッチすると、山地さんは車を飛ばし、なんと高知県の南国市から駆けつけてくれた。そんな山地さんに見送られ、中島町営汽船のフェリー「なかじま」で三津浜港を離れた。

 13時、三津浜港発のフェリー「なかじま」は、忽那諸島の睦月島、野忽那島に寄って14時20分、終点の中島の大浦港に到着した。

 中島は反時計回りで島を一周。

「アイランドウオッチング」しながらの「中島一周」だ。

 大浦港を走り出すと、瀬戸木海峡を間近に眺める海岸に出るが、そこからは右手に中島、左手に睦月島、その間に興居島を見る。

 島の北端近くからは左に大館場島、右に小館場島を見る。ここまでが愛媛県。その向こうに広島県の倉橋島を見る。

 中島の西海岸を南下すると「忽那七島」の怒和島、津和地島、二神島を見る。

 忽那諸島の主島の中島とこれら3島、それと興居島、船で寄った睦月島、野忽那島の7島は「忽那七島」と呼ばれている。

 西海岸の西中漁港ではタコ漁の漁師さんの話を聞いた。

 ここではタコ壷を使ってのタコ漁をしているとのことだが、タコ壷にはプラスチック製と焼き物の2種がある。焼き物のタコ壷の方がはるかによく獲れるとのことだが、最近ではめっきり減ったという。手に入れにくくなっているからのようだ。

 夕日を浴びた対岸の二神島を眺め、神浦港を通り、大浦港に戻った。

 全行程27キロの「中島一周」。「興居島一周」よりも1キロ、距離が長くなった。