カソリの島旅(61)彦島(山口)
(『ジパングツーリング』2002年4月号 所収)
本州最西端の町、下関。
ぼくは下関に来るたびに、胸がキューンとしてくる。下関は大陸への夢を限りなくかきたててくれるのだ。
下関では下関駅から徒歩1分の「下関ステーションホテル」(1泊朝食つき5700円)に泊まったが、クロワッサンにスープ、ゆでたまごの朝食を食べると、「下関国際フェリーターミナル」に行った。
今までに何度か、下関港から関釜フェリーで韓国の釜山に渡った。一昨年(2000年)にはバイクと一緒に渡り、「韓国一周3000キロ」を成しとげた。
そんな思い出の地、下関を出発。
まずは彦島だ。
幅の狭い水路をまたぐ関彦橋を渡って彦島に入る。この橋の隣には水門があって、時間によってはその上を通って彦島に入っていける。彦島は下関と町つづきのようなものだ。
彦島東端の三菱の造船所が尽きたところからは無人島の船島を見る。関門海峡に浮かぶ平坦な小島。対岸には門司の町並み。その背後には九州の山々が連なっている。
船島は別名、厳流島。宮本武蔵と佐々木小次郎の対決でよく知られている。船島には佐々木小次郎の墓があるという。関釜フェリーが下関港を出ていくときは、この島のすぐわきを通っていく。
彦島の南端、田の首まで来ると、関門海峡の対岸には小倉から戸畑にかけての町並みがよく見える。北九州工業地帯の工場群も見える。
福浦港をぐるりとまわり込み、海沿いを走ると、彦島から小倉に向かう関門海峡フェリーを見る。下関から九州に渡るのに、このフェリーを使うのもすごくいい手だと思う。
そして彦島北西端の南風泊港へ。日本のフグの大半がこの港に水揚げされる。魚市場に隣合って航空貨物の会社が並んでいるところが南風泊港らしい。魚市場で競り落とされたフグはすぐさま航空貨物で福岡空港などから東京や大阪の大消費地に送られていくのだ。
ぼくは1度、この南風泊港でのフグの競りを見るためだけに下関に来たことがある。
午前2時を過ぎると、もう市場は動きだし、午前3時すぎに市場内に競り開始のベルが鳴り響いた。南風泊港独特の競りの仕方で、布袋の中で競り人と仲買人の指のからみ合い、フグ1ケースの値段が決まっていく。
そんな南風泊港からは短い竹ノ子橋で竹ノ子島に渡り、小さな島の先端まで行くと、その先に浮かぶ六連島が見えた。