賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(60)笠戸島(山口)

(『ジパングツーリング』2002年3月号 所収)

 長島から室津に戻ると、今度は室津半島西岸の道を北上。

 沖合の佐合島、牛島、馬島といった島々を見る。今、走ってきた長島もよく見える。その向こうには祝島。この祝島も八島同様、興味のひかれる島だ。

「いつか渡ってやろう!」

 田布施で国道188号に合流し、光を過ぎると、笠戸島が見えてくる。

 下松市に入ったところで、笠戸大橋で笠戸島に渡り、県道173号を南下する。

 笠戸島は南北に細長い島。笠戸湾に面した西岸は“7つの浦と7つの岬”といわれるほどの入り組んだ海岸線だ。その中に小城岬や大城岬がある。

 笠戸島は造船の島でもある。造船所の前を通って島西部の深浦港へ。そこで県道173号は行き止まりになる。

 港の背後にそびえる山が標高256メートルの高壺山で笠戸島の最高峰になっている。

 ここでは酔っぱらったおっちゃんにからまれた。

「あんた、何してるの」

「えー、バイクで日本一周? 何が楽しくてそんなことやってるの」

「あんたいくつ? 26?」

 ぼくが「54ですよ」というと驚いた顔をしたが、我らバイクに乗る者はみんな若く見られる。酔っぱらったおっちゃんだったが、「26」といわれて気分をよくして笠戸島を離れるカソリだった。

 下松に戻ると徳山へ。そこから国道2号で下関に向かう。

 最後まで雨、雨、雨・・・。

 干珠島、満珠島の2島を見て下関に到着。東京を出発してから10日目のこと。

 東京から2133キロを走っての下関到着だ!