賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(54)上蒲刈島(広島)

(『ジパングツーリング』2002年3月号 所収)

 下蒲刈島の三之瀬から蒲刈大橋を渡って上蒲刈島に入る。上蒲刈島は1島全域が蒲刈町になっている。なお下蒲刈島は下蒲刈町で、上蒲刈島とは町が違う。

 上蒲刈島の中央部にそびえる七国見山(457m)が島の最高峰。

 その名前がなんともいえずにいいではないか。

 本州側だけではなく、四国側もよく見える島なので、両方合わせて7国、それで“七国見山”なのだ。

 上蒲刈島は反時計回りで島を一周した。

 海沿いの道を走っていると、下蒲刈島以上に四国の山並みがより近く、はっきりと見えた。

 海に落ち込む岩山地帯は石灰岩の大採石場になっていた。その風景はふとイランのカビール砂漠の岩山地帯を思わせるものだった。

 島の南東端の県民の浜には県民の浜温泉「やすらぎの湯」がある。無色透明の塩分の濃い湯。真っ青な瀬戸内海を眺めながら島温泉の湯につかった。

 島の東側に出ると、豊島が目の前だ。

 この豊島は東隣の大崎下島からさらに平羅島、中ノ島経由で愛媛県の岡村島まで橋でつながっている。上蒲刈島と豊島の間に橋がかかれば、本州の本土側から全部で7つの島々が橋で結ばれることになる(その後、上蒲刈島と豊島の間には豊島大橋が完成し、安芸灘の島々を結ぶこのルートは「安芸灘とびしま海道」と呼ばれている)。

 島の北側に出ると町役場のある宮盛や豊島、大崎下島へのフェリーが出る田戸港がある。

 最後に島の西岸の向浦に出た。28キロの「上蒲刈島一周」だ。

 上蒲刈島から蒲刈大橋を渡って下蒲刈島に戻り、安芸灘大橋を渡って国道185号に戻った。