賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(53)下蒲刈島(広島)

(『ジパングツーリング』2002年3月号 所収)

 大芝島から国道185号に戻ると、西へ。安浦町を通り、川尻町に入る。ここから有料の安芸津大橋で下蒲刈島に渡る。

 安芸津大橋だが2輪の料金は550円。ところが原付だと50円でしかない。原付だと島へのフェリー代がきわめて安くなるが、島への有料橋代も同様にきわめて安いものになる。神奈川県の三浦半島突端の城ヶ島に渡る有料橋、城ヶ島大橋のように原付は無料という橋もある。このように50㏄バイクは島旅にはもってこいなのだ。

 下蒲刈島の中心、三之瀬へ。ここには「福島雁木」がある。

 越後などの雪国で「雁木」といったら大通りの商店街の軒から庇(ひさし)を長く出してその下を通路にしたものだが、瀬戸内海で「雁木」といったら港の船着場などにおりる階段をいう。

 この「福島雁木」は江戸時代初期、幕命で広島藩の福島正則がつくったもの。

 その前にある食堂「勇光」でにぎりずし並(1000円)の昼食を食べた。

 三之瀬を出発点にして時計回りで下蒲刈島を一周。隣りの上蒲刈島に通じる蒲刈大橋の下をくぐり抜けていく。

 島の南側に出ると、きらめく海に上黒島が見える。その向こうには青く連なる四国の山々が霞んで見える。

 島の西側に出ると倉橋島が目の前だ。

 こうして三之瀬に戻ったが、一周15キロの下蒲刈島だった。