賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(45)北木島(岡山)

(『ジパングツーリング』2002年2月号 所収)

 前島から牛窓港に戻ると、昔ながらの牛窓の町並みをひとまわりし、海辺の燈籠堂を見る。そして海沿いの道で岡山へ。

 岡山からは国道2号→国道30号で高松へのフェリーの出る宇野港まで行く。そこからの眺めがすごい。備讃諸島の島々が重なりあってズラズラッと並んでいる。無性に「島旅心」を刺激される風景だ。

 だが、それらの島々の大半は香川県なので、このあとの「四国編」でまわることにする。

 宇野からは海沿いの国道430号を行く。鷲羽山のまわりをぐるりとまわり込むあたりでは、釜島、松島、六口島の岡山県に属する3島を見る。下津井の町越しには瀬戸大橋を見る。巨大な橋脚の立つ櫃石島は香川県の島だ。

 国道2号に出、笠岡に向かうころから雨になり、笠岡に到着するころには本降りだ。

 笠岡駅近くの笠岡港から豊浦汽船の「にゅうとようら2」に乗って笠岡諸島・北木島の豊浦港へ。笠岡諸島の神島、高島と寄って45分で北木島の豊浦港に到着。

「にゅうとようら2」はさらに小飛島から大飛島まで行く。

 豪雨の北木島に上陸。この島は「北木石」で知られる石の島。日本でも屈指の花崗岩の産地だが、安い中国産にやられ、今ではすっかり衰退している。

「ここの原石と中国産の加工石が同じくらいの値段なんだから…、もう勝負になりませんよ」

 と、島の人は嘆いていた。

 島の道、全部を走って41キロ。大浦の旅館「天野屋」に泊まった。