賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

東海道53次(往路編)71

京都6(京都)4月8日

 京都の峠越えはまだまだつづく。山陰道の国道9号で老ノ坂峠へ。桂川を渡り、桂離宮の近くを通り、老ノ坂峠のトンネル入口に到達。さらに峠のトンネルを抜け、亀岡まで下り、来た道を京都の中心街まで戻った。

 老ノ坂峠といえば、天正10年(1582年)、亀岡城を発った明智光秀の軍勢が備中に向かうと見せかけ、老ノ坂峠を越え、本能寺の織田信長を討ったことで有名だ。この老ノ坂峠を越える道が「京の七口」の丹波口になる。国道9号はJR山陰本線のガードをくぐり抜けていくが、そこにある駅は丹波口駅

 次に奈良坂。伏見稲荷観月橋、木津と通り、国道24号で京都・奈良府県境の奈良坂へ。そこで折り返し、京都の中心街まで戻った。奈良坂を越える道が「京の七口」の伏見口になる。これで「京の七口」のうち、六口までを通ったことになる。

 大津宿から逢坂山峠を越え、山科から日ノ岡峠を越えて三条大橋に通じる道が粟田口。京見峠を越え、周山から小浜に通じる道が鷹ヶ峰口。鞍馬から花背峠を越え、花背に通じる道が鞍馬口。大原から途中峠を越え、琵琶湖畔から敦賀に通じる道が大原口になる。

 最後は鳥羽口を行く。国道1号で東寺へ。東寺の五重塔を見る。ここには昔、都の正門の羅生門があった。北端の朱雀門に相対する堂々とした大門で、羅生門の東側には東寺が、西側には西寺が建てられたという。現在、残っているのは東寺のみ。羅生門跡は小公園に石碑が立っているだけ。西寺跡は児童公園になっている。そこの草に覆われた盛土の上には礎石が残されている。羅生門から南に下る道が鳥羽口になる。鳥羽を通り、洞ヶ峠を越えて京都から大阪に入っていく道。

「洞ヶ峠」といえば「日和見」の代名詞。織田信長が討たれた本能寺の変(1582年)後の山崎の合戦の折、明智光秀に加勢を頼まれた筒井順慶が、峠上で戦況が定まるまで傍観していたところ。この故事によって後世、日和見主義を「洞ヶ峠を決め込む」といわれるようになった。

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国道9号の老ノ坂峠

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国道24号の奈良坂近くの木津川堤防上で

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鳥羽口の東寺の五重塔

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東寺前から国道1号を行く

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国道1号の洞ヶ峠